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「ホームズゆかりの地」案内:Marble Arch [ ┣「ゆかりの地」案内]

FSL: Marble Arch(P29~30)

Marble Archはハイドパークの北東の角に近いところにある駅です。広大な緑地であるハイドパークは多くの人が散歩している憩いの場となっています。ロンドンの街の真ん中にこんなに大きな公園があるというのが驚きです。

1. Hyde Park, W2


「赤髪組合」
FSLの記載: In The Red-headed League, Watson walked from his house in Kensington, through Hyde Park, to Baker Street.


延原訳登場シーン: 私がその夜家を出たのは、九時十五分すぎであった。ハイド・パークをぬけて、オックスフォード街からベーカー街へ曲ってみると、ホームズの家のまえには二台の二輪馬車が待っていた。入口をはいるとき、二階のほうで話声が聞えていたが、彼の部屋に通ってみると、ホームズは二人の男客と元気よく話をしていた。

「黄色い顔」

FSLの記載: In The Yellow Face, Holmes and Watson took an early spring walk in the Park, and found that they had missed a client. Their walk could have been through Regent's Park but Hyde Park is more likeky.

延原訳登場シーン: 早春のある日、珍しくもホームズは私と公園を散歩するほどくつろいだ気持でいた。楡の梢は緑のわか芽をもちはじめ、槍の穂さきに似てねっとりした胡桃の新芽は五葉にほころびかけている。二時間ばかりそのなかをぶらついたが、どちらからもほとんど口はきかなかった。心の底までふかく知りあった仲として、べつに珍しいことでもない。べーカー街へ帰ったのは五時に近かった。
「お帰りなさいまし。あの、お留守にお客さまがございました」ドアをあけてくれた給仕がいう。
「だから午後の散歩なんかダメなんだ」ホームズはとがめるように私を見かえって、「で帰っていったのかい?」

 

ワトソンとホームズの絶妙な関係が分かるエピソードだなと感じるシーンです。FSLでは、この散歩はリージェントパークかもしれないがハイドパークの方がよりらしいと言っています。ベーカー街(1)の時に書きましたが、現在の221Bは確かにリージェントパークのすぐ側にあるのですが、当時のベーカー街を考えると、ハイドパークの方が近いので、このように言っているのではないかと思います。

「花嫁失踪事件」

FSLの記載: In The Noble Bachelor, the missing bride, Hatty Doran St. Simon, was seen walking in Hyde Park with Flora Millar. Flora had been on a "very friendly footing" with Lord St. Simon, and had created a distubance at the wedding breakfast. In a futile to find Hatty, Inspector Lestrade started dragging the Serpentine.


延原訳登場シーン: 「もっと何かないかい?」ホームズはあくびした。
「たくさんある。ここにモーニング・ポストの記事がもう一つあるが、それによると結婚式はごくごく内輪に挙行されること、場所はハノーヴァー・スクエアのセント・ジョージ教会で、式にはきわめて親しい者五、六人だけが列すること、式後は父のアロイシャス・ドーラン氏が家具つきで用意したハイド・パークにちかいランカスター・ゲートの家に引きあげることなどが出ている。
(中略)
式後一同はハイド・パークにちかいランカスター・ゲートのアロイシャス・ドーラン氏邸の披露宴にと赴いたが、この際姓名不詳の一婦人によってひと悶着あった。
(中略)
「そのとおりです。そのあとで、フローラ・ミラーという女とつれだって、ハイド・パークへはいってゆくのを見かけた者があります。」
(中略)
「ハイド・パークのサーペンタイン池を引っかきまわしていたんです」
(中略)「私はたったいま詳しい話を聞いたばかりですよ。しかしねらいはちゃんとつけています」
「ほう! ではサーペンタイン池には関係がないとおっしゃるんですか?」
「まずそうでしょうね」
「じゃあの池からこんなものが揚がったのは、いったいどうしたもんでしょう?」
レストレードは持参の袋をあけて、紋絹の花嫁衣裳、白サテンの靴、花嫁用の花冠およびヴェールなど、いずれも水浸しになって変色したのを一つ一つとりだして床のうえにつくねあげ、最後に新しい結婚指輪を一つそのうえにおいた。

ハイドパークの様子です。広大で歩くだけで非常に気持ちがよい所です。

FSLでは言及されていませんが、「空き家の冒険」でワトソンがアデア卿殺害現場へ向かう途中で通り抜けた公園もほぼハイドパークで間違いないと思われます。(登場シーンは下記Park Laneの項を参照)

サーペンタイン池については後日、引っかき回して、ではなく写真を撮ってくる予定です。

2.Park Lane, W1

「空き家の冒険」

FSLの記載: In The Empty House, Ronald Adair, second son of the Earl of Maynooth, lived at No. 427 Park Lane (old numbering), with his mother and sister. He played cards with, and was later murdered by, Colonel Sebastian Moran. Holmes thought that Adair had caught Moran cheating. Later, Watson strolled from Hyde Park, by the site of the murder. He bubped against an elderly bibliophile carrying several books. Although he didn't know it at the time, it was Holmes in disguise.


延原訳登場シーン: ロナルド・アデヤ卿は、当時オーストラリア植民地の知事の一人であったメイノースの伯爵の次男で、折から白内障手術のため帰朝していた母君および妹のヒルダとともに、パーク・レーンの四二七番の家に住んでいた。
(中略)。それにパーク・レーンは人通りの多い通りだし、家から百ヤードと離れていないところに、街馬車の客待ち場所もあるのに、一人として銃声を耳にした者がないとはどうしたものだろう?
(中略)夕方、ぶらりと出かけて公園をぬけ、六時にはパーク・レーン通りのオックスフォード街寄りのはずれに立っていた。(中略)ロナルド卿の殺されたというパーク・レーン通り四二七番の家を実地に見ても、何の得るところもなかった。

オックスフォード街との交差点から見たパーク・レーンの様子です。FSLにも書いてあるとおり、427番地は見あたりませんでしたが、オックスフォード街に近いとワトソン博士も言っていますので、このあたりが事件現場だったのではないかと思われます。Marble Archの駅もすぐ近く、ハイドパークもこの西側にあります。人々が好きに演説をしているSpeaker's Cornerもこの最寄りの公園入り口を入るとすぐ見つかります。


現地探訪はこちらの本を基に行っています。(本文ではFSLと略しています。)

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延原謙氏の訳はこちらからの引用です。

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コメント 2

写六

ハイド・パークの写真はその広々とした広大さがよくわかり、またパーク・レインの写真もめずらしく、《空家の冒険》で人々がたむろしていたのはどのあたりで、ワトスンが老人とぶつかったのはどこだろうかなどと、想像力を大いにかきたてるものでした。
by 写六 (2006-12-30 11:33) 

Tomo

ハイドパークは本当に大きいです。新宿御苑や明治神宮といった感じなのかもしれませんが、ロンドンのサイズ自体は東京より小さいのでよく残していると感心します。
by Tomo (2006-12-30 19:15) 

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