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「ホームズゆかりの地」案内:Green Park [ ┣「ゆかりの地」案内]

FHL:Green Park (P22-23)

昨日バッキンガム宮殿近くに用事ででかけたので、帰り道にGreen Park周辺のゆかりの地を訪ねてみることにしました。

1.Berkeley (Barclay) Square, W1

「高名な依頼人」
FSLの記載: In The Illustrious Client, General de Merville, and his daughter Violet, lived at 104 Berkeley Square.

延原訳登場シーン:将軍からお待ちしているという電話があったし、ミスWも約束どおりやってきたので、僕たちが老将軍の家のあるバークリー・スクェアの百四番で馬車を降りたのは五時半だった。おそろしく古びて、なみの教会なんか足もとへも寄れないほどのすごいロンドンの城の一つだった。

「ブルース・パティントン設計書」
FSLの記載:
Admiral Sinclair also lived on the Square in The Bruce-Partington Plans. Here, Watson spelled it B-a-r-c-l-a-y, the way it is pronounced.

延原訳登場シーン:サー・ジェームズは三時ごろに、鍵を持ったままロンドンへ出かけた。そしてこの事件の起こったその晩は、バークレイ・スクェアのシンクレア提督の家にずっといたのだ」

104番地を探してみたのですが見つけられませんでした。一番番号の大きな辺に表示がなかったのですが、直前の番号が50台で終わっているので、104番まではないのではないかと思われます。当時と番地の振り方が変わったのか、ワトソンが架空の番地を使ったのかだと思われます。

2. Boodle's-28 St. James's Street, SW1

「三破風館」
FSLの記載: This gentlemen's club was formed in 1762, and is famous for its bow window, fronting St. James's Street.

In The Three Gables, Holmes went to see Langdale Pike, who spent his walking hours in Boodle's bow window, gathering London gossips.


延原訳登場シーン:ところでね、こいつはどうやらラングデール・パイクものらしいから、ちょっと行ってくるよ。あの男に会えば、問題がだいぶはっきりしてくると思う」
 その日はそこでホームズに別れたきりになったが、ラングデール・パイクというのは社交界のスキャンダルの生字引のような男だから、その一日を彼がいかに有効に費したかは、想像にかたくなかった。 
 この不思議な怠けものは、起きている間じゅうをセント・ジェームズ街のクラブの出窓のところにがんばっていて、大ロンドンじゅうのスキャンダルの受信局兼放送局をつとめているのだ。

こちらが28番地です。

この茶色の壁の建物が28番地の建物です。

今もBoodle'sというClubとして運営しているようです。(こちらを参照。)

3. Christie's-8 King Street, SW1

「高名な依頼人」
FSLの記載:
This famous auction house was founded in 1766. In The Illustrious Client, if pressed for a price, Watson was to suggest that Christie's or Sotheby's set the value of the blue Ming saucer.

延原訳登場シーン:「じゃひと組にそろえて専門家の鑑定にまかすといったらどうだろう?」
「うまい! 今日はばかに頭がいいね、君は。それにはクリスティーかサザビーの名をあげるといい。用心ぶかく、君からは値段を切りださないのだね」

「ていねいに扱ってくれたまえよ。これは真正の明朝の軟磁なんだ。クリスティーの店でもこんな美しいのを扱ったことはない。」

「三人ガリデブ」
FSLの記載:
In The Three Garridebs, Nathan Garrideb lived in an abode of Bohemian bachelors. He rarely left his quarters, except to go to Christie's to bid on additions to his natural history collection.

延原訳登場シーン:「外出は絶対になさらないのですか?」
「ときたまサザビーやクリスティーの店へ馬車でゆきますがな。そのほかには外出することはまずありません。あまり体が丈夫なほうじゃないし、それよりも研究に夢中なものですからな。」

西側の端から見たKing Streetの様子です。左手奥の赤い旗の建物がChristie'sになります。

同じオークションで有名なSotheby'sに比べると立地もちょっと寂しいとおりにありますし、ちょっと地味めですね。

こちらがChristie'sのホームページになります。

4. Curzon Street, W1

「ショスコム荘」
FSLの記載:
In Shoscombe Old Place we learn that Sam Brewer, the well-known moneylender, lived on Curzon Street. Sir Robert Norberton nearly horsewhipped Brewer to death on Newmarket Heath.

延原訳登場シーン:「ニューマーケット・ヒースの競馬で、カーゾン街の有名な金貸しサム・ブリューワーを鞭で打ったときのことだがね。もう少しで殺してしまうところだった」
「ふむ、面白そうな男だ。ちょいちょいそんな暴力をふるうのかい?」
「危なくて油断のならない男だという評判だった。」

5. Half Moon Street, W1

「高名な依頼人」

FSLの記載: In The Illustrious Client, Watson , under his alias Dr. Hill Barton, supposedly lived at No. 369 Half Moon Street. As Baron, he went to see Baron Gruner about the blue Ming saucer.

延原訳登場シーン:ホームズは「ハーフ・ムーン街三六九番 医師ヒル・バートン」とした名刺を私によこした。
「これが今晩の君の名だ。これをもってグルーナー男爵を訪問するのだ。」

 

369番地ですが、これも今の番地にはない番地のようです。数字が大きすぎます。架空の番地なのでしょうか、または当時と番地の振り方がかわったのでしょうか。架空の住所だとするとグルーナー男爵にばれてしまう恐れと思うのですが。

6.Museum of Mankind (former University of London)-

Burlington Garden, W1

「緋色の研究」
FSLの記載:
In A Study in Scarlet, we find that Watson received his medical degree from The University of London. At that time, the University was located in Burlington Gardens, where the Museum of Mankind is now located.


延原訳登場シーン:一八七八年にロンドン大学で医学博士の学位をとった私は、軍医としての必須科目をおさめるため、ひきつづきネットリの陸軍病院へと進んだ。そしてそこで修業を終了してから、順調に第五ノーサンバランド・フュージリア連隊付の軍医補に任命されたのである。

「入院患者」
FSLの記載: In The Resident Patient, Dr. Percy Trevelyan was also a medical graduate of the University of London.

延原訳登場シーン:最初にまず学生時代のことから申しあげなければなりません。私はロンドン大学の出身でして、自分の口から申すのも口はばったいことですが、教授たちから大いに前途を嘱目されたのは決して誇張ではありません。

Museumなので、行けば分かると思ったのですがいくら探してもありませんでした。それもそのはず、かつてロンドン大学、その後Museum of Mankindだったところは、2005年からはRoyal Academy of ArtsとRoyal Academy Schoolが入っているということでした。(Wiki参照。)

上の写真では、右手奥の赤い旗のあるところの建物が旧ロンドン大学、今のRoyal Academy of Artsにあたります。

ロンドン大学については、こちらのWikiのページの解説がわかりやすいかと思います。1900年までは、University College LondonとKing's Collegeの二つがロンドン大学だったようです。ワトソンがどちらの大学出身なのかについては、別の機会にじっくりと調べてみたいと思います。

ちなみに私の通っている大学院もロンドン大学の一員です。

7.St. James's Street, SW1

「ギリシャ語通訳」
FSLの記載:
In The Greek Interpreter, Holmes and Watson walked to Mycroft's club in Pall Mall. Since they entered Pall Mall from the St. James's Street end, they must have walked past Boodle's, where Langdale Pike spent his waking hours in the bow window.

延原訳登場シーン:話しながら歩くうち、私たちはペルメル街にきた。それをセント・ジェームズ寺院のほうから歩いていった。シャーロック・ホームズはカールトンからちょっと離れたとある家の戸口に立って、口をきいてはいけないよと私に注意をしてからホールへはいっていった。

この突き当たりを左折するとPall Mallに入ります。

翻訳ではセントジェームズ寺院からとありますが、原文では「We had reached Pall Mall as we talked, and were walking down it from the St. James's end.」とあります。寺院だと、ベーカー街からPall Mallに向かうにはちょっと行きすぎなければなりませんし、St. James's endとありますので、Pall Mallのセントジェームス街側というのが正しいのだと思います。


The World of Holmes」の管理人のみっちょんさんが地図を作成してくださいました。上記記事と合わせてご参照ください。


  これまで紹介してきた「ホームズゆかりの地」については、ホームページ「The World of Holmes」(管理人:みっちょんさん)の、「地下鉄駅を中心にしたホームズゆかりの地案内」のコンテンツで、リストにしてくださっています。みっちょんさんありがとうございます。 

同じくみっちょんさんのホームページのコンテンツである「シャーロッキアンの果てしなき冒険」「第六章ロンドンという舞台」の「トラファルガースクエアから西へ」「ハイドパーク周辺」でも同じ地域が紹介されていますので、是非合わせてご参照ください。いつも参考にさせてもらっております。


現地探訪はこちらの本を基に行っています。(本文ではFSLと略しています。)

Finding Sherlock's London: Travel Guide to over 200 Sites in London

Finding Sherlock's London: Travel Guide to over 200 Sites in London

  • 作者: Thomas Bruce Wheeler
  • 出版社/メーカー: Iuniverse Inc
  • 発売日: 2003/09
  • メディア: ペーパーバック
 
延原謙氏の訳はこちらからの引用です。

新潮文庫 シャーロック・ホームズ全集

新潮文庫 シャーロック・ホームズ全集

  • 出版社/メーカー: インターチャネル・ホロン
  • 発売日: 1998/02/06
  • メディア: ソフトウェア

 

その他に参考にしている本はこちら。

Sherlock Holmes in London: A Photographic Record of Conan Doyle's Stories

Sherlock Holmes in London: A Photographic Record of Conan Doyle's Stories

  • 作者: Charles Viney
  • 出版社/メーカー: Smithmark Pub
  • 発売日: 1995/09
  • メディア: ハードカバー

この本は日本語訳も出ているそうです。

 

シャーロック・ホームズの見たロンドン―写真に記録された名探偵の世界

シャーロック・ホームズの見たロンドン―写真に記録された名探偵の世界

  • 作者: チャールズ ヴァイニー
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1997/03
  • メディア: 文庫


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コメント 4

MasaruS

はじめまして。

シャーロック・ホームズの検索サイト:網上猟狗というサイトを運営しているMasaruSと申します。

現在、私のサイトで開催している読書会の現在のお題が「ギリシャ語通訳」なのですが、Google の地図でホームズたちがベイカー街からディオゲネス・クラブへ向かった順路の見当をつけてみたのですが、こちらのブログを思い出して答え合わせしに来ました。延原訳の「セント・ジェームズ寺院」の件もスッキリしました。

こちらのブログを拝見していると、やっぱり現地にいる地の利はスゴいと思います。

充実した研究生活をお送りください。

追伸
キートンは、最終回で着手した発掘に成功して、今ごろドクター・太一・キートンになっているのでしょうか?
by MasaruS (2007-03-15 13:07) 

Tomo

MasaruSさん、はじめまして。

実は読書会の方は、ROMですがよく覗かせていただいております。なるほどと思うことも多く、正典にあたることもしばしば。

留学もあと半年ですので、ますます張り切ってロンドン巡りしたいと思っています。何か現地で調べられることがあれば、お知らせください。

ドクターキートンになっていたら、私の目標もドクター取得に変えねば・・・。キートンを日本に置いてきてしまったのが悔やまれます。
by Tomo (2007-03-15 14:53) 

ぐうたらぅ

クリスティーの店は "King" Street にあるのですね! これも「高名な依頼人」に出てくるロイヤルなキーワードの一つなのかも、と思ってうれしくなりました。
by ぐうたらぅ (2010-03-30 13:00) 

Tomo

>ぐうたらぅさん、こんばんは。

ぐうたらぅさんが解き明かしているように、作品のテーマにそったキーワードがいろいろとちりばめられているんですね。興味深いです。切り口がすばらしいですね。私もそこまで読み込みたいのですが。
by Tomo (2010-04-02 01:05) 

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