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「ホームズゆかりの地」案内:King's Cross/St.Pancras [ ┣「ゆかりの地」案内]

FSL:King's Cross/St.Pancras Underground Station(P28)

今回はKing's Cross/St.Pancras駅周辺のゆかりの地案内です。鉄道駅としては、King's Cross駅とSt.Pancras駅とがあるのですが、両者が近接していることから地下鉄駅は一つになっています。King's Cross駅の裏手あたりはロンドンでも治安の良くないところと言われているようですが、駅前はとくに危ない様子もありません。ただ確かに他の場所と比べると少し雑然とした雰囲気はあります。

1.King's Cross, WC1

「花婿失踪事件」

FSLの記載:In A Case of Identity, Mary Sutherland's stepfather, disguised as Hosmer Angel, romanced poor Mary. He was trying to keep her money at home. Mary planned to marry Hosmer at St. Saviour's Church, near King's Cross.

延原訳登場シーン:「ほう、そいつは不運でしたね。それで、結婚式の日どりはこの金曜日というとりきめで、場所は教会ですか?」
「ええ、でもごく内輪にね。場所はキングス・クロス駅にちかい聖セーヴィア教会で、式のあとで聖パンクラス・ホテルで披露宴をすることになっていましたの。」

 

原作では、聖セーヴィア教会がキングス・クロス駅の近くにあることになっているのですが、実は近くに聖セーヴィア教会はありません。聖セーヴィア教会がどこにあるのかというと、ロンドン橋やBorough Marketの近く、つまりテムズ川の南側にあります。

 

名称はThe Cathedral and Collegiate Church of St Saviour and St Mary Overieまたは一般的にはSouthwark Cathedralとして知られています。(Wiki参照

先日Borogh Marketに行ったときによってみたのですが、ここからKing's Crossまではかなりの距離があるので、移動するのはまったく現実的ではないと実感しました。そもそも近くないですし。

そこで、実際にサザーランド嬢がどこで結婚式を挙げようとしたのか、MLを通じて日本のシャーロッキアンの方々にお知恵を借りたところ、St. Pancras Old ChurchまたはSt. Pancras New Churchという説があるということを教えていただきました。

Old Churchはまだ訪問していませんが、New ChurchまたはSt.Pancras Parish ChurchはKing's Cross駅や下で紹介する聖パンクラスホテルにも近く、条件としては合致しているようです。(Old Churchの方が駅・ホテルとは若干距離があります。)

こちらがSt.Pancras Parish Churchです。(歴史についてはWiki参照

Old Churchの方もいずれ訪問してみようと思っています。一応こちらもWikiで解説されています。

(5月7日追記)

St. Pancras Old Churchに行ってきましたので写真を追加します。

電車の路線のすぐ横にありますが、非常に静かな場所でよい雰囲気でした。ただしホテルからはNew Churchと比べて若干距離があります。

2.King's Cross Rail Station

「スリー・クォーターの失踪」

FSLの記載:In The Missing Three-Quarter, Holmes and Watson left from King's Cross Station, on their way to Cambridge.

延原訳登場シーン:「何を手に入れたんだい?」

「捜査の出発点さ」とホームズは手をあげて辻馬車をよびとめ、「キングス・クロス駅まで」といった。

「汽車でどこかへ行くのかい?」

「ケンブリッジまでいっしょに行ってもらわなきゃなるまいね。あらゆる徴候が、その方角を指している」

こちらがKing's Cross駅です。

この事件ではケンブリッジ大学が登場しますが、ホームズがどこの大学を卒業したのかについては、昔からシャーロッキアンの間での議論のテーマとなってきました。この事件でホームズがケンブリッジについて話題にしていないことから、ケンブリッジ出身ではないことの根拠としている説もあります。一方、ケンブリッジに行くにはキングスクロス駅からの汽車に乗ることを知っていたのはケンブリッジ出身だからだという説もあったと記憶しています。

ちなみに「グロリアスコット号事件」で、ホームズが大学の時に校内で犬にかまれたという記述があり、オックスフォードでは犬を校内で飼えない規則があったことからオックスフォードではないという説もあります。

3.Midland Grand (St. Pancras) Hotel, 2 St Chad Street, WC1

「花婿失踪事件」

FSLの記載:In A Case of Identity, Mary Sutherland had planned her wedding breakfast at the St. Pancras Hotel. It is one of the grand railroad hotels built in the 1860-70s. Today it is called the Midland Grand Hotel.

延原訳登場シーン:「場所はキングス・クロス駅にちかい聖セーヴィア教会で、式のあとで聖パンクラス・ホテルで披露宴をすることになっていましたの。」

 

FSLではSt.Chad Streetとなっているのですが、St Pancras Hotelと呼ばれたホテル(Midland Grand Hotelとも呼ばれていてこちらの方が有名なようです)はユーストンロードのSt Pancras駅に隣接して立っているので、何かの記載ミスなのでしょうか。

これがMidland Grand Hotelで当時はSt Pancras Hotelと呼ばれていたようです。

 このMidland Grand Hotelは80年代からホテルではなくなり(防災規則にひっかかってしまったとか)、空いたままだったのですが、2009年にReneissance St Pancras Hotelとして新たにオープンするようです。

念のためSt. Chad’s Streetにも行ってみました。

FSLに書いてあるSt Chad's Stの2番地(~5番地)には、Comfort Inn King's Crossというホテルがあるのですが、Midland Grand Hotelとの関係は見あたらないので、単なる記載ミスじゃないかと思われます。

(07年5月28日追記)
セント・パンクラスについて、「ショスコム荘」でも言及がありました。事件名なので場所は分かりませんが、おそらくこちらのセント・パンクラスのことと思われます。

「ショスコム荘」
延原訳登場シーン:
「セント・パンクラス事件で巡査の死体のそばに帽子が一つおちていたのを覚えているだろう? 容疑者は自分のじゃないと否認しているが、この男は額縁製作業者で、ふだんニカワを扱っているのだ」

「あれは君が調べているのかい?」

「そうじゃないが、警視庁の友人のメリヴェールに頼まれたものだからね。」


  これまで紹介してきた「ホームズゆかりの地」については、ホームページ「The World of Holmes」(管理人:みっちょんさん)の、「地下鉄駅を中心にしたホームズゆかりの地案内」のコンテンツで、リストにしてくださっています。みっちょんさんありがとうございます。 

同じくみっちょんさんのホームページのコンテンツである「シャーロッキアンの果てしなき冒険」「第七章鉄道で駆けつける地方の事件」の「キングスクロス駅」、「セント・パンクラス駅」でも同じ地域が紹介されていますので、是非合わせてご参照ください。いつも参考にさせてもらっております。


現地探訪はこちらの本を基に行っています。(本文ではFSLと略しています。)

Finding Sherlock's London: Travel Guide to over 200 Sites in London

Finding Sherlock's London: Travel Guide to over 200 Sites in London

  • 作者: Thomas Bruce Wheeler
  • 出版社/メーカー: Iuniverse Inc
  • 発売日: 2003/09
  • メディア: ペーパーバック
 
延原謙氏の訳はこちらからの引用です。

新潮文庫 シャーロック・ホームズ全集

新潮文庫 シャーロック・ホームズ全集

  • 出版社/メーカー: インターチャネル・ホロン
  • 発売日: 1998/02/06
  • メディア: ソフトウェア

 

 

その他に参考にしている本はこちら。

Sherlock Holmes in London: A Photographic Record of Conan Doyle's Stories

Sherlock Holmes in London: A Photographic Record of Conan Doyle's Stories

  • 作者: Charles Viney
  • 出版社/メーカー: Smithmark Pub
  • 発売日: 1995/09
  • メディア: ハードカバー

この本は日本語訳も出ているそうです。

 

シャーロック・ホームズの見たロンドン―写真に記録された名探偵の世界

シャーロック・ホームズの見たロンドン―写真に記録された名探偵の世界

  • 作者: チャールズ ヴァイニー
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1997/03
  • メディア: 文庫


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