「ホームズゆかりの地」案内:Pimlico [ ┣「ゆかりの地」案内]
Pimlico Underground Station P36
Westminsterを南下したテムズ川近くにある駅です。周りには特に大きな観光名所もないので(Tate Galleryはありますがちょっと歩きます。)落ち着いた雰囲気の街にあります。
今回はすべて「四つの署名」関連です。ホームズ達がモースタン嬢と一緒にLyceum劇場からサディアス・ショルトーの家にいくときに通った通りが登場します。「四つの署名」ではこのLyceumからの道中、トビーを使った追跡、そして最後のテムズ川でのオーロラ号追跡とロンドンを縦横に動き回っています。
これらを実際に追体験してみるというのもなかなか面白いと思います。先日はボートでグリニッジまで行ってみて、オーロラ号追跡の跡をたどってみました。また別に紹介したいと思っています。
1. Millbank, SW1
「四つの署名」 FSLの記載:In The Sign of Four, Holmes and Watson took a wherry from Mordecai Smith's boat yard to Millbank, on the north side of the river.
延原訳登場シーン:「それではこれから僕たちは、どうするんだい?」と私がたずねたとき、はしけはちょうどミルバンク刑務所の近くの波止場へ着き、私たちはそこへ上陸した。(中略)オーロラという汽艇の行方が知りたいのだ。モーディカイ・スミスという人の持船で、船体は赤い筋の二本はいった黒ぬりだ。煙突は白い筋が一本あって、やはり黒ぬりだ。大河のどこかにいるはずだ。誰か一人ミルバンクの向う河岸のモーディカイ・スミスの桟橋を見はっていて、汽艇が帰ったら報告するといい。
今もPierがあってボートの発着所になっています。刑務所跡というのも今度探してみたいと思っています。
2. Vauxhall Bridge Road, SW1
「四つの署名」 FSLの記載:In The Sign of Four, Holmes, Watson, and Mary Morstan, were driven to see Thaddeus Sholto. They came down Vauxhall Bridge Road and crossed the river.
延原訳登場シーン:しかしシャーロック・ホームズは、広い四つ角へ出たり、曲りくねった横丁をぬけるたびに、まちがえずにその名を教えてくれた。
「ロチェスター通りだ。ここはヴィンセント広場だ。ヴォクスホール橋通りへ出た。河を渡ってサリー州へ行くんだな。そら、もう橋へかかった。見たまえ、水面がちらちら光っているだろう?」
3. Vincent Square, SW1
「四つの署名」 FSLの記載:In The Sign of Four, before turning on Vauxhall Bridge Road, Holmes, Watson, and Mary Morstan, drove down Rochester Row and saw Vincent Square on their left.
延原訳登場シーン:しかしシャーロック・ホームズは、広い四つ角へ出たり、曲りくねった横丁をぬけるたびに、まちがえずにその名を教えてくれた。
「ロチェスター通りだ。ここはヴィンセント広場だ。」
FSLにはVincent Squareを左に見てとの記述がありますが、原典にはそうした記述はありません。ロチェスター通りのあと、Vauxhall橋にでるにはVauxhall Bridge Roadを通ったものと思われますが、Vauxhall Bridge Roadはロチェスター通りを直進して左折するのが普通だと思われますので、おそらく、このVincent Squaraを通らず直進したものと思われます。そのときに左手に見えたということかもしれません。
この写真を撮っているのがロチェスター通りで、背後を左から右へ通っています。(この写真の直進している通りと交差した通りです。)そして向こうの木が生えているところがVincent Squaraになります。Vincent Square側を実際に通ったのであれば、この道を入っていき、どこかで右折してVauxhall Bridge Roadに出たと思われます。
これまで紹介してきた「ホームズゆかりの地」については、ホームページ「The World of Holmes」(管理人:みっちょんさん)の、「地下鉄駅を中心にしたホームズゆかりの地案内」のコンテンツで、リストにしてくださっています。みっちょんさんありがとうございます。
同じくみっちょんさんのホームページのコンテンツである「シャーロッキアンの果てしなき冒険」「第6章ロンドンという舞台」の「テムズ川右岸」でも同じ地域が紹介されていますので、是非合わせてご参照ください。いつも参考にさせてもらっております。
現地探訪はこちらの本を基に行っています。(本文ではFSLと略しています。)
Finding Sherlock's London: Travel Guide to over 200 Sites in London
- 作者: Thomas Bruce Wheeler
- 出版社/メーカー: Iuniverse Inc
- 発売日: 2003/09
- メディア: ペーパーバック
- 出版社/メーカー: インターチャネル・ホロン
- 発売日: 1998/02/06
- メディア: ソフトウェア
その他に参考にしている本はこちら。
Sherlock Holmes in London: A Photographic Record of Conan Doyle's Stories
- 作者: Charles Viney
- 出版社/メーカー: Smithmark Pub
- 発売日: 1995/09
- メディア: ハードカバー
この本は日本語訳も出ているそうです。
シャーロック・ホームズの見たロンドン―写真に記録された名探偵の世界
- 作者: チャールズ ヴァイニー
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1997/03
- メディア: 文庫
原典にあたるときはこちらの新注釈付ホームズ全集を使っています。注釈があるので場所の特定に困ったときなど助かっています。
The New Annotated Sherlock Holmes 150th Anniversary: The Short Stories
- 作者: Arthur Conan, Sir Doyle, Leslie S. Klinger
- 出版社/メーカー: W W Norton & Co Inc
- 発売日: 2004/11/08
- メディア: ハードカバー
イギリスの作家「サラ・ウォーターズ」の小説 「半身」にミルバンク監獄の挿絵が載っていました。
中心の3階建てペンタゴンを囲んで 放射状に6つのペンタゴンの監獄です。 男の囚人と女の囚人が別々の管区に収容されていたと記載されていました。
その後テムズ河畔の開発で取り壊されたとありました。
興味を持ってネット検索したら こちらに辿り着きました。
本当にこの名前の監獄があったんですね。 だから小説も歴史も面白いと思いました。
by ハマの萱さん (2008-02-11 19:35)
ハマの萱さん、こんにちは。残念ながら監獄跡は行けなかったのですが、こちらのみっちょんさんのサイトで当時の監獄の位置を再現してくださっています。
http://homepage2.nifty.com/shworld/19_tomo/james_pimlico_map.html
小説に出てくる施設や地名が実際にあって、そこを巡ってみるという楽しみを、ホームズで味わうことができました。100年変わらないロンドンの魅力だと思います。
by Tomo (2008-02-14 02:53)