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チャリングクロス街84番地ー書物を愛する人のための本 [読書(英国)]

日曜に日本に到着しました。1年ぶりの日本。帰ったらあれをして、これをしてと思ってたはずなのに、帰ってきてみると何すんだっけ?という感じです。

月曜は休日だったので、本屋にいったり漫画喫茶にいったりとのんびり過ごしました。そして火曜から出勤。昨日、今日はお休みをもらって家探しの予定です。

東京に帰ってきてもBlogは続けます。基本ルールは、読んだ本は感想を書く。

ということで帰国後早々に実家で発見した本がこちらでした。

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本

  • 作者: 江藤 淳
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1984/10
  • メディア: 文庫

この本は、第二次世界大戦直後のアメリカ女性とロンドンはチャリングクロス街84番地にある古本屋との交流を描いた書簡集です。

アメリカで劇作家をしている女性へレーンが、英国の古本屋に古書の注文する手紙からすべてが始まります。初めは古書店と客という関係だったのが、注文の手紙とその返答という中にも次第に友情が深まっていくことが端々に現れる、そこが本書の最大の魅力でしょう。

しかし、友情物語としてとどまることはなく、興味深い点をいくつも読み取ることができます。

一つは戦後すぐの英米の状況の違い。英国は戦争により疲弊し、食料も配給制であったことが分かります。一方、それを知ったアメリカ女性がいろいろな食料を古書店の店員達向けに送ったことが手紙にしばしば書かれているのですが、ここから分かるのは英国とは対照的な米国の豊かさ。戦後の日本で、豊かなアメリカの生活が一種の憧れだったように、英国から見てもアメリカが格段に豊かだったことが分かります。それに対してどのような感情だったのか、この本に登場する手紙を書いた心優しい人々からは想像することはできませんが、ドルの圧倒的な強さということだけは知ることができました。

もう一つの魅力は、注文として登場する英国の文学。「釣魚大全」から「傲慢と偏見」まで、さまざまな書籍を注文するのですが、それぞれの本に対するアメリカ女性の率直なコメントなど、イギリス文学を知る人にとっては大いに楽しめるのではないでしょうか。残念ながら、英国文学をあまり読まない私には馴染みのある本が少なく、今後の課題となりそうです。それでも、内容だけではなく、イギリスならではの立派な装丁がされた本を入手し、それを愛でるアメリカ女性の素直な感想はほほえましくもあり、またイギリスの書籍文化そのものの歴史の深さを感じさせてくれます。

ネタバレになるので書きませんが、それぞれの書簡の主達の人生の変遷が、文面から明らかになっていくのも本書に魅力を与えています。読後に、一つの本屋との20年にわたる交流がはぐくんだ友情物語を読んでいたんだと言うことを改めて感じました。

ロンドンに行く前に読んでいたらこの実在の本屋に行っていたのに、と思うとちょっと残念。


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