マリアビートル [読書(楽しみ)]
新宿駅の駅内の本屋さんで、伊坂さんの新作のポスターが貼ってありました。書き下ろしの新作だそうです。
殺し屋(+狡猾なな中学生)達がそれぞれの仕事をするために盛岡行きの新幹線に乗り込んで・・・、というのがストーリーです。もちろん伊坂さんの作品なので、個性豊かな殺し屋達が登場し、それぞれの目線から話が展開し、徐々に絡み合って最後に大団円という、気持ちの良い読書体験が楽しめました。
伊坂さんの作品では、他の作品の登場人物がちょい役で登場したり、作品同士がゆるくつながっています。殺し屋達の話としては、グラスホッパーという作品がありますが、このマリアビートルはその続編とも言える内容で、随所にグラスホッパーに登場した人物やエピソードがちりばめられています。蝉や鯨など、懐かしい名前も所々に登場するので、彼らがどんな殺し屋だったか、もう一度読み返してみたくなりました。
タイトルのマリアビートルですが、英語でテントウ虫をさすレディビートルからきた言葉のようです。レディ=マリア様ということでマリアビートル。前述のグラスホッパーがバッタですので、虫の名前で統一しているのでしょうか。登場人物の一人が天道虫というあだ名になっていますし、彼の仲介人が真莉亜なので、この組み合わせとも言えるのかも。作中で押し屋(ターゲットの背中を押して交通事故にみせかける殺し屋)・槿がふと考える「マリア様の七つの悲しみを背負って飛んでいく。だから、てんとう虫はレディビートルと呼ばれる。(中略)見ているものは、その黒い斑点ほどの小ささではあるが、自分の悲しさをその虫が持ち去ってくれた、と思うことができる。俺の仕事とは正反対だと、槿は感じる。」(P436)というところで、少しタイトルの由来が分かる気がしました。
最近の伊坂さんの作品は、あえて昔のパターンをはずして構成しているものもあって、ある意味で新しい作風としてうれしいのですが、本作のような、ある意味鉄板の(といっても先が読めない)構成で物語が進む伊坂作品もやはり捨てがたい。
それから、これは前も書いたかもしれませんが、違った目線を切り替えながら、時には時系列も入れ替えて進む手法は、私の好きな「パルプ・フィクション」にも通じるところがあって、それも伊坂さんの作品が好きな理由。ちょっと残酷な描写が出てきたり、会話のテンポがいいところなども共通しているところかな。
一気に読み終わってしまいました。
Tomoくん、映画の趣味はちょっとかぶるけど
本の趣味はあんまりかぶらなくておもしろいー^^
とはいえ、わたしタランティーノは好きなのに
本では殺人ものとか読まないから単なる食わず嫌いなのかもしれないけど。
自分で本選ぶと傾向が固定しちゃうから、
人が読んでるの見るのは参考になっていいです!
by ai (2010-10-05 14:35)
>aiちゃん
タランティーノ好きなら、伊坂幸太郎作品はきっと気に入ると思うなあ。おすすめは、重力ピエロかな。デビュー作のオーデュポンの祈りもいいね。まあ、初期の作品を一つくらい読むとはまると思うよ。
by Tomo (2010-10-07 02:07)