夜明けの街で [読書(楽しみ)]
最近の出張でかならず持って行く東野圭吾さんの本。今回はこの本を持って行きました。
ミステリーなのであまりストーリーにはふれないほうがいいのですが、Amazonの商品説明ではこんな感じです。
「不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた。ところが僕はその台詞を自分に対して発しなければならなくなる―。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の仲西秋葉と不 倫の恋に墜ちた。2人の仲は急速に深まり、渡部は彼女が抱える複雑な事情を知ることになる。15年前、父親の愛人が殺される事件が起こり、秋葉はその容疑 者とされているのだ。彼女は真犯人なのか?渡部の心は揺れ動く。まもなく事件は時効を迎えようとしていた…。」
物語は主人公の渡部の視点から語られるため、彼のそのときどきの感情も語られながら物語が進んでいきます。不倫に対する心の葛藤や、そうはいっても不倫の恋人との楽しいひととき。前半は恋愛小説的な展開で、いつミステリーになるかと思うのですが、徐々に過去の事件が明らかになっていくので、不倫の恋の行方と共に謎もふかまって、最後はその二つが解決を迎えていきます。
読んでいると主人公の渡部の感情を共有して、いろいろな意味でどきどきしてしまうのですが、終盤になるとむしろ不倫の恋の相手、秋葉の方に感情移入してしまうようになります。とくにラストを読むと、この話が渡部と言うより秋葉の物語だったと気づくことになります。
東野圭吾さんの本は、とくに発表順とか気にせずに、空港の書店で適当に手に取るのですが、テーマも文体も展開も、それぞれ異なっていて楽しめます。一つ共通してるなと感じるのが、犯人捜しが一筋縄でいかないこと。毎回予想を裏切られるので、その裏切られ方を楽しんでいる感じかな。読者が正解にたどり着けるヒントがあるという訳でもないので、謎解きの楽しみというよりは、ラストの展開の意外性を純粋に楽しむというのが良いようです。
コメント 0