「保健医療のためのGIS」 [公衆衛生]
仕事の関係で、GISのことを勉強しています。
公衆衛生分野でのGISの活用について、日本語でまとまっているほぼ唯一の書籍と思われるこちらを読んでみました。
公衆衛生とGISといえば欠かせないのがJohn Snowのコレラマップ。こちらの本でも第一章「保健医療と地理情報科学」で紹介されています。ロンドンに留学していたとき、授業で扱われていたり、実際のコレラが蔓延した場所を回ったり、John Snowパブでクラス会をしたりと親しみのある話題ではありますが、あらためGISの見地から見ても優れた研究と実践をしていたと言うことが分かります。Snowが手作りしたコレラ地図を現在のGIS技術を用いて、いろいろな手法で表現してあるところはかなり参考になりました。
続く「GISと疾病地図」、「空間疫学分析」はややテクニカルな面が強くて、昔の疫学統計の本を引っ張り出して参照しながら読みました。(が、分からないところが多くてもう少し復習が必要。)
「感染症とGIS」の章では、日本の感染症対策の事例が多く使われていて参考になります。
ただし、仕事の関係で使うのはあまり感染症と関係が無い分野がメインになりそうなので、その後の2章「保健医療計画とGIS」、「開発途上国の地域保健とGIS」が特に参考になりました。
留学中にGISの特別講座があったのですが、残念ながら出席できませんでした。こちらに来てから講師を招いてGISの研修を行ったり、短期コースに出たりしていたのですが、GISソフトの実際の使い方がメインだったため(保健の事例で実習はしたものの)、どうやって活用できるのか、という基本的なところを知りたいと思っていました。
GISなどビジュアル的に目新しい分野というのは、取り入れたいと思う人が多くいる一方で、GISでなければできない分析がなんなのかをきちんと押さえていないケースもあるようです。地図上に表現することでどのような付加価値が生まれるのか、あるいはGISを使わねばできない分析とは何なのか、常に意識していかないといけないと思っています。
引き続き、この二つを読み始めていますが、最初に日本語で読んでおけたので大分楽な気がしています。
あとは実際に仕事でソフトをいじりながら慣れていって、いずれは仕事できちんと使えるようになりたいと思っています。
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