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What stops population growth? どうしたら人口増加を止められるのか? [公衆衛生]

以前も紹介したHans Rollinsの新しいビデオを見ました。


What stops population growth? from Gapminder Foundation on Vimeo.

今回は、家族のサイズと平均寿命と人口についてのプレゼンテーションでした。

今回もGapminderというヴィジュアルなツールを用いてのプレゼンテーションです。今回使っているのは、横軸が一人の女性あたりの子供の数、縦軸が平均余命。1950年は子供数が多くて平均余命が低い国々と、子供の数が少なくて平均余命が高い国の二つに分かれていて、中間の子供の数が5人前後で、平均余命が55歳くらいという国はほとんどありませんでした。

それがその後の60年弱で、多くの国が平均余命が延びるにつれて子供の数が少なくなってきています。この辺がヴィジュアルによく分かるのがGapmainderの良いところです。いくつかの国、アフリカの国は、子供の数は少なくなっているのに、平均余命は延びていないのが見て取れますが、これはHIV/AIDSのため。エイズのインパクトが本当によく分かります。

子供が死ななければ、子供の数が少なくなる。逆に言えば、人口を増やさないためには子供の数を少なくすることしかないというのが結論でした。

人口増加は地球環境にとっても大きな問題です。地球上の人口が何人なのが、この地球の資源を考えたときに適切なのか分からないのですが、これだけ貧困な人たちがいるというのは、もしかしたら今の人口サイズでも多すぎるのかもしれません。私の専門は公衆衛生で、人々の健康をいかに守って増進させるかということですが、こうした取り組みが家族あたりの子供の数を少なくし、人口増加を抑制すると思っているのですが、一方でタイミング的にはこうした社会になるまでに人口増加は進むわけで、地球のキャパシティを超えるのが先に来てしまう(もう来ている?)ということが心配になります。

それにしてもこうした問題を直感的に分からせてくれるGapmainderは本当に画期的な仕組みだと思います。統計データの処理の仕方、プレゼンの仕方としてはとても優れていると思います。 仕事柄、データや統計を扱うこともありますが、こうした分かりやすい見せ方ということに留意する必要があると実感させられます。


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共通テーマ:学問

アジアなどでエイズ感染拡大、国連や国際赤十字が警告 [公衆衛生]

 
今日は世界エイズデーです。世界エイズデーが始まって20年になり、感染のメカニズムが解明され、抗レトロウイルス薬が開発されるなど大きな進展はあった物の、上記の通りまだ感染が拡大している状況が続いています。かつて感染が拡大していたサブサハラアフリカでは上昇が抑えられているものの、東欧・アジアでは拡大しているそうです。

貧困層の多いアフリカで感染が押さえられているのは良いニュースですが、大きな人口をかかえるアジアでの感染拡大は大きな問題ですね。一般的にアジア諸国の行政能力はアフリカよりも高いとはいえ、多数の人口を抱えているということはそれだけ多額の対策費用がかかるということです。感染拡大が進めば、予防対策に加えて治療にもお金が必要となってきます。是非とも予防対策を成功させる必要がありますね。

予防対策と言えば、アメリカ大統領選挙も終わり、アメリカの対外支援におけるHIV/エイズ対策政策も大きく変わると思われます。こうした今後の流れについてもフォローしていきたいと思っていますし、基本を思い出す意味でも留学中の教材ももう一度引っ張り出して復習しておきたいところです。せっかく学んだことなのですが、一年経ってしまいだいぶ記憶も薄れてしまっています。今の仕事も1年なので、ここは学んだことと実務のリンクを再認識するために、関連する授業の教材はもう一度見直してみなければと思っています。


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共通テーマ:健康

第一回野口英世アフリカ賞 [公衆衛生]

ちょっと古い話題になりますが、第五回となるアフリカ開発会議(TICAD)にあわせて第一回野口英世アフリカ賞の表彰式が行われました。(TICADの時にはちょうどリベリアにいて関連イベントなど行けなかったのが残念です。向こうでも大統領は今東京にいるよってリベリア人に言われました。)

内閣府のホームページによれば、賞の目的は「アフリカに関する医学研究及び医療活動を顕彰することにより、 アフリカでの感染症等の疾病対策の推進に資し、もって人類の繁栄と世界の平和に貢献することを目的とします。」とのこと。小泉元首相の発案だそうです。

野口英世博士と言えば、明治時代に細菌学の分野で世界的に活躍された方ですね。梅毒や黄熱病の研究をして、最後はガーナのアクラで自身が黄熱病にかかり亡くなりました。

下は先月アクラに行ったときに訪問した野口記念公園の写真。研究室も博物館として残されているようなのですが、残念ながら見つからず、行けませんでした。

DSCN1355.jpg

その野口博士の名前を冠した賞ということで、「アフリカ」での「医学研究」の分野で活躍している人を表彰しようというものです。

今回が第一回の表彰だったのですが、受賞したのはケニア国家エイズ対策委員長、ミリアム・ウェレ博士と、ロンドン大学衛生・熱帯医学校のブライアン・グリーンウッド博士。

グリーンウッド博士はアフリカでのマラリア研究の分野での功績を認められての選出でした。昨年留学していたときに、「マラリアの疫学と対策」という授業を取っていたのですが、その一コマで彼の授業があったはずなのですが、実はあまり記憶にありませんでした。ちょっと資料を引っ張り出してみたところ、「Measuring the Impact of Malaria Control Intervention」というタイトルでした。でもあまり印象にないんですよね。もしかしたら休講になってたのかなあ。

母校のウェブサイトにもグリーンウッド博士が同賞を受賞したことが載っていました。日本で講演も行われたそうなので、是非行ってみたかったのですが、残念でした。

関係ありませんが、母校のページを見ていたら、同じマラリアの研究者で昆虫学者のカーティス教授が急逝されたとのニュースがありました。彼の授業はよく覚えていますし、パーラメントで行われたマラリアのセミナーに行ったときは国会の中をいろいろと案内してくれました。ご冥福をお祈りします。


黄熱病 [公衆衛生]

月末の出張のために黄熱病の予防接種を受けてきました。

黄熱病は野口英世博士も罹って亡くなった病気ということくらいは知っていましたが、これまで黄熱病流行国に行ったこともなく、また予防接種が有効ということもあって対策プログラムに携わったこともないため、あまり知識がありませんでした。

少し調べてみると、黄熱病はネッタイシマカを媒介して罹る病気で、感染のリスクがある国はアフリカと南アメリカ、致死率は20%程度もあるとのこと。(IDWR参照のこと。)

次の出張は感染リスクのある国の一つであるニジェールで、入国の際に接種を受けたことを証明する証明書が必要となります。この証明書を発行してもらう必要があることから、接種を受けられるのは各地の検疫所に限定されており、東京では江東区と丸の内の二カ所で受けることができます。接種をしている曜日が決まっていて、予約を入れてから行く必要があります。

私が行ったのは江東区の東京検疫所でした。前述の通り黄熱病のリスク国はアフリカと南米ですので、これらの国に行く人はそれほど多くなさそうなので、接種に来る人も少ないのかと思ったら、結構たくさんの人たちが受けに来ているのにびっくりしました。仕事や旅行で行く人は意外と多そうですね。

予防接種が有効となるのは10日後から10年間ということなので、あと10年は接種しないですみそうです。
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共通テーマ:旅行

Debunking third-world myths with the best stats you've ever seen [公衆衛生]

統計データってよく使いますよね。
私も仕事でも大学院にいたときのレポートでも、乳幼児死亡率とか一人あたりGDPといったデータを引用したりしています。
何かを言うために、経年のデータを引用してきたり、その地域の平均値と比べたり、世界の平均と比べたり、近隣の国と比べたりします。でも使うのはただの数字だったり表だったり、たまにグラフを使ったり。

よく読むbululuさんのBlogで教えてもらったこのプレゼンテーションを見て、データをただの数値ではなく、このようにヴィジュアルに表現することでまた違ったことが見えてくるということがあるんだと気づかされました。なによりも分かりやすいというか体感できるというか。データが生きてるように感じられます。

こんなプレゼンテーションをネット経由で見られるというのも幸せな環境ですね。



データと表現ということだけではなく、内容自体も私のやっている分野では重要なことが多く示されていました。今日から周りの同僚などに広めていこうと思います。


国際シンポジウム「Global Health as Global Agenda」 [公衆衛生]

今日は午後休暇を取って国際シンポジウム「Global Health as Global Agenda」というのに行ってきました。忘れないようにメモしておきます。


開催趣旨: 今回のシンポジウムは翌1月16日から18日まで神戸で開催されるWHO のSDH(Social Determinants of Health: 健康の社会的決定要因)委員会にあ わせて開くものです。SDHには所得、社会的地位、教育、労働環境など が含まれ、社会的不平等に基づく健康問題を解決する手段として注目を 浴びています。また、日本は来年七月に開催される北海道洞爺湖サミッ
トの議長国及び来年五月に開催される第4回アフリカ開発会議(TICAD4) の共催国として、グローバルヘルスの課題に取り組むこととしていますが、その柱となる「人間の安全保障」の概念は今回のシンポジウムのテ ーマであるSDHに深く関係するものであり、元国家元首を含む多彩なシンポジストによる議論に期待します。
 
日  時: 平成20年1月15日(火) 13:30 ~ 15:30
 
会  場: 三田共用会議所 1F 講堂
住所: 〒108-0073東京都港区三田2-1-8
TEL: 03-3455-7591 ※別添地図参照
 
参 加 費: 無料
 
定  員: 150名(予定)
 
使用言語: 日本語、英語 (同時通訳有り)
 
主  催:  財団法人 日本国際交流センター、社団法人 国際厚生事業団
 
後  援: 外務省、日本医師会

プログラム

平成20年1月15日(火) 於: 三田共用会議所 1F 講堂
 
13:30-13:45
開会挨拶
舛添 要一   厚生労働大臣(予定)
 
13:45-14:00
第一部 基調報告
「健康の社会的決定要因に関する委員会が目指すもの(仮題)」
Prof. Michael Marmot ロンドン大学疫学・公衆衛生学 教授、世界保健機関(WHO)
「健康の社会的決定要因に関する委員会」 議長
 
14:00-14:30
第二部 基調講演
「グローバル・ヘルス、そして人間の安全保障において日本が果たすべき役割」
武見 敬三  前・参議院議員、ハーバード大学公衆衛生学部 リサーチフ
ェロー、財団法人 日本国際交流センター シニア・フェロー
 
14:30-15:30
第三部 シンポジウム “Global Health as Global Agenda”
座長: 
黒川 清    内閣特別顧問
シンポジスト:
1) Prof. Sir Michael Marmot ロンドン大学疫学・公衆衛生学 教授、世界保健機関 (WHO)「健康の社会的決定要因に関する委員会」 議長
2) 武見 敬三  前・参議院議員、ハーバード大学公衆衛生学部 リサ ーチフェロー、財団法人 日本国際交流センター シニ ア・フェロー
3) Dr. Pascoal Mocumbi 前モザンビーク共和国首相、欧州・開発途上国臨床試験プログラム(EDCTP) 上級代表
4) Prof. Frances Baum フリンダース大学公衆衛生学 教授
5) Mrs. Mirai Chatterjee インド女性自営労働者組合(SEWA) 社会保障担当
6) 國井 修 国連児童基金(UNICEF) ミャンマー事務所 健康・栄養 担当主任
7) 中村 安秀   大阪大学大学院 教授


 今年は日本でアフリカ開発東京会議やサミットが行われ、MDGの中間年でもあるということで、今後も興味深いイベントが目白押しになりそうですが、今日はその一環のようです。

日本は前回沖縄でサミットが開催されたときも世界の感染症対策を強化するということで沖縄感染症イニシアティブというものを発表し、その後感染症対策への協力を進めてきました。今回のサミットでも(というか毎回のサミットで、ですが)国際保健が重要なアジェンダとなるという趣旨から、こうしたシンポジウムでその主題がどのような内容になっていくのかということがうかがえると思います。

今日の発表を聞いたところ、今後の日本の取り組みとしては、政策や規制といったトップダウンのアプローチと参加型のボトムアップのアプローチをバランスよく組み合わせたアプローチ、選択と配分の集中、保健システム強化、コミュニティヘルスワーカーとボランティア組織の強化といった日本が戦後進めてきた公衆衛生対策を反映させたものというのが方向性のようでした。

これに対してマーモット教授が言っていたのは、プライマリヘルスケアや保健システムの強化なども「健康の社会的決定要因」を考慮していかないと成功は難しいといっていたことでしょうか。健康の社会的決定要因というのは、ロンドンでプライマリヘルスケアのコースをとったときにも盛んにいわれていたことですが(ここにも書いてありました)、医学の技術革新が思ったほど人々の健康にインパクトを与えておらず、所得格差や栄養状態、労働環境、ジェンダー格差、医療サービスへのアクセスの差、といった社会的要因が健康に影響を与えているというものです。

プライマリヘルスケアの授業ではこの社会的決定要因というものについて非常に力を入れられていたのですが、背景にはこうしたWHOのコミッションができていたということがあったのですね。当時情報としては知っていたはずなのですが、コミッションの存在や内容などについては意識していなかったようです。コミッションについてはこちらにかかれていますし、今年の6月にはファイナルレポートも出されるようです。

途上国での保健プロジェクトなどでは、保健サービスの人材や施設の向上、参加意識の向上といったアプローチをとることが多いのですが、人々の収入がないと薬が買えないとか、教育レベルがある程度ないと予防のための情報が伝わりにくいとか、医療施設があっても道が悪いのでアクセスが悪いとかいった別の問題も見えてくるのですが、それぞれ別の省庁の管轄だったりして、なかなか包括的なアプローチがとりにくいのが現実だと思います。マーモット教授も言っていましたが、Health Equityを開発の成果として位置づけるということが必要なんだと思います。現実では、例えば道路を整備することについて、周辺の人々の健康の向上したといった成果はあまり測定されていないのですが(女子教育と健康の関係については何かで読んだ記憶があります、インドの事例だったかな)、開発ということは元来包括的なものだという認識の元、計画や評価の時にはセクターに偏らず議論することが重要と言うことなのでしょう。

いろいろと考えるところがありましたので、引き続き考察していきたいと思いました。という意味で、今日は行ってみてよかったと思いました。


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