「ホームズゆかりの地」案内:Clapham South [ ┣「ゆかりの地」案内]
Clapham South Underground Station P17
訪問日:2007年5月6日
これまでClaphamが名前につく駅としてClapham CommonとClapham North駅周辺のホームズゆかりの地を紹介してきましたが、今回は最後のClapham South駅周辺のゆかりの地を紹介します。
1.Wandsworth Common, SW 11
「ギリシア語通訳」
FSLの記載:Mr. Melas, The Greek Interpreter, was forced to interpret poor Paul Kratides, was let out in Wandsworth Common. He was just just in time to catch the last train from Claphame Junction to Victoria Station.
延原訳登場シーン:『ここはいったい何というところですか?』私はすぐに言葉をかけました。
『ワンズウォースの原ですよ』
『ロンドンゆきの列車は、まだありましょうか?』
『一マイルばかり歩くと、クラパムの乗換駅へ出ますよ。いまからゆけば、ヴィクトリア駅ゆきの最終にゃ間にあいましょう』
Clapham Common駅の紹介でも同じ引用箇所を紹介していますが、
Brit Movie TourのTHE SHERLOCK HOLMES LONDON TOUR [ ┣「ゆかりの地」案内]
BBCドラマのシャーロックシーズン2のDVDが10月5日に発売され、iTunesでも購入が可能になっていました。
ガーナ在住の悲しさ、日本では放映済みのシーズン2が見られずこの日が来ることを待ち望んでいましたので、早速3本を購入・ダウンロード、そしてあっという間にシーズン2の3本を見終わりました。
下敷きになっている原作だけではなく、ところどころにちりばめられた原作ネタが秀逸でストーリーだけではなくそうした小ネタでも楽しめるところがいいですね。かなりマニアックなネタで、制作陣が原作を良く読み込んでいることがうかがえて好感が持てます。
BBCシャーロックの感想などはまた別の機会に詳しく書きたいと思っていますが、今年8月に行ったロンドンで参加したツアーについて忘れる前に書いておきたいと思います。
これまでLondon Walkのホームズツアーやロンドンホームズ協会主催の各種ホームズツアーには参加したことがありました。これらは基本的にはホームズの原作に登場した場所を中心に当時のビクトリア時代の名残、ホームズ作品が掲載されていたストランドマガジン関連の場所などを回るというものでした。
ロンドンのパブ "The Sherlock Holmes" [ ┣「ゆかりの地」案内]
フィルム博物館のホームズの部屋を見た後にもう一つのホームズの部屋があるパブ「シャーロック・ホームズ」へ。
去年の訪問時にはビールを飲んだだけでしたが、この日はお昼ご飯の時間だったので二階でお昼ご飯を食べることにしました。このホームズパブは、一階がパブになっていて、二階がレストランになっています。このレストランに併設されてホームズの部屋があるのです。(1951年の英国フェスティバルの際にベーカー街に再現された部屋をここで保存しています。)
立地ですがテムズ川近くのチューブ(地下鉄)の駅、エンバンクメントから少し北に向かったところにあります。建物は「バスカヴィル家の犬」で、ヘンリー・バスカヴィル卿が英国に渡りダートムアに行く前に泊まっていたノーザンバランドホテルだった建物です。また隣の小さな通りには、ホームズやワトソンも楽しんだトルコ風呂があったときの名残のタイルも見ることができます。(詳しくはこちらを。)
(この日はパブの写真を取り忘れたので、これはロンドンに住んでいたときに撮ったものです)
The Sherlock Holmes
パブ「シャーロック・ホームズ」のオフィシャルサイト。
まずは腹ごしらえと言うことで、二階(イギリス流の数え方では一階ですね)にあがってローストビーフを頼んでみました。
二階はこのような様子です。壁にはホームズにちなんだものが飾ってあります。
待つことしばし、ローストビーフがやってきました。
もちろん付け合わせはヨークシャープディングとホースラディッシュです。他にジャガイモと野菜が少しついていました。
エールと一緒にいただきます。
このヨークシャープディングというのは、ローストビーフの時にしか食べたことがありません。肉料理と合わせるもののようですね。グレービーの味は若干シャープさにかけるものの、ホースラディッシュをつけることでさっぱりとローストビーフが食べられます。ヨークシャープディングはシュークリームのシューの部分をちょっとしっかりさせた感じのものなのですが、グレービーに浸してたべるとこれはこれで美味しいものです。
食べ終わって会計の後、ホームズの部屋を眺めてみました。こちらはガラスの壁で覆われていて中には入れません。
レストラン側のガラス窓からの様子。ガラスがあるので写真が撮りにくいのが難点です。向こう側に「空き家の冒険」で活躍したホームズの蝋人形があります。
この部屋の説明書。
横の窓からレストラン側(左側)を見た写真がこちら。
そして一番奥に近い扉の窓から撮ったのがこちらとなります。
ホームズの蝋人形に、モラン大佐に空気銃で撃たれた弾痕が確認できます。また、ホームズがピストルで壁を撃って作ったVRの文字もあったはずですが、写真には写ってないですね。
こちらのホームズパブには何度も来たことがあるのですが、実は2階で食事をしたのは今回が初めて。ウォーキングツアーの最後にホームズの部屋は見学したことがあるので、この部屋は見たことがあったのですが、ここでゆっくり食事をしたことはありませんでした。
今回の滞在ではロンドンにあるホームズの部屋3つのうち2つを訪ねることが出来ました。(フィルム博物館とホームズパブ。あと一つはベーカー街のホームズ博物館です。)ここが一番歴史もあって由緒あるホームズの部屋と言えるかもしれません。他にもスイスや神戸にもホームズの部屋がありますし、ポーツマスにもランセリン・グリーンさんの再現した部屋が再現されているかもしれません。また行ったことがないところも多いので、いつかすべていけたらと思っています。
今回の滞在は短いながらもホームズ関連では他にマニアックな場所も行っているのですが、意外と行っていなかった定番にも行くことが出来て満足な滞在となりました。あと一つホームズ関連では、ウォーキングツアーの模様をいずれアップしたいと思っています。
「ホームズゆかりの地」案内:Harrow and Wealdstone [ ┣「ゆかりの地」案内]
Harrow and Wealdstone Underground Station P25(訪問日2007年9月14日)
ハローアンドウィールドストーン駅は地下鉄ベイカールー線の終着駅です。正典の中では三破風館に登場します。では、その登場シーンを見ていきましょう。
1. Harrow weald, HA1
「三破風館」
FSLの記載:Mary Maberley asked Holmes to visit her house, Three Gables at Harrow Meald. She had received a very strange offer to buy the house and its contents. Later, the Barney stockdale Gang burgled the house.
延原訳登場シーン:
事件の冒頭で黒人ボクサーのスティーブ・ディキシーがベーカー街の部屋に現れるシーンから。
ホームズゆかりの地 [ ┣「ゆかりの地」案内]
2006年から2007年にかけてロンドンに1年留学していました。
平日は朝から授業、夜は帰宅してからその日の復習と次の日の予習という生活でした。でも、せっかくロンドンにいるのだから週末は外出してロンドンを楽しみたいと思っていろいろ考えた結果、週末は概ね二つの活動に費やされました。
一つはノースロンドンのサッカーチーム、アーセナルの応援。クラスメートが熱心なアーセナルファン(グーナーと言います)だったのと、監督がかつて日本のグランパスエイトで指揮をとっていたベンゲル監督だったこと、住んでいたところからアーセナルのスタジアムまで近かったことなどから、さっそくアーセナルのクラブ会員(Red Member)となりチケットがとれるときはスタジアムで、アウェイの時や人気カードでチケットがとれないときはパブに行って試合を観戦していました。(その後も今に至るまで日本からガーナからサポートしています。)
そしてもう一つがホームズゆかりの地をたずねること。ゆかりの地といっても、ホームズ博物館やホームズパブ、ベーカー街などの有名なところだけなら一日でも回れてしまいますので、とりあえずホームズ作品に登場したところにできるだけたくさん行ってみようと思いました。そしてそのときにガイド代わりに使ったのが「Finding Sherlock's London」という本。
Finding Sherlock's London: Travel Guide to over 200 Sites in London
- 作者: Thomas Bruce Wheeler
- 出版社/メーカー: iUniverse
- 発売日: 2003/09
- メディア: ペーパーバック
ロンドン市内のホームズ作品で言及されている200カ所が、最寄り地下鉄駅ごとに仕分けられてリストアップされているという本でした。(このへんの経緯はこちらのエントリーで。)
駅の数でみても70駅もあって、1年かけて訪問しがいのある数だったと思います。
週末にこつこつと訪問を重ねて、帰国前にはすべての地下鉄駅を網羅することが出来ました。(付録的に掲載されている地下鉄以外の鉄道駅については訪問できていないのが残念。)
このブログにも訪問の記録を書くようにしていたのですが、最初は「Finding Sherlock's London」の記載と原作(日本語訳)でどのように登場しているのか、ということを淡々と書いていたのですが、だんだん深みに入り込み、ワトソンがぼやっとしか場所を示していない場所がどこにあったのか、とか、昔の地図ではどうなっていたのか、とか、建物の歴史がどうなっていたのか、とかいろいろと調べることが多くなって、参考にする文献もどんどん増えていきました。
ということもあって、実はロンドン留学中にこちらのブログで紹介できていなかった場所が駅の数で10駅分ほどたまっています。
いつか書こうと思いつつそのままになっていたのですが、これを完結させようと思い立ちました。
その理由としては、最近iTunesで購入したBBCの「Sherlock/シャーロック」の第1シリーズやガイ・リッチー監督の「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」を見て、ホームズ熱が再燃してきたこともあります。そして、もう一つの理由は、「シャーロック・ホームズの世界」という(私の「ゆかりの地訪問」も丁寧にまとめていただいています)すばらしいホームズサイトの管理人であるみっちょんさんと、最近メールのやりとりをしていて、Brixton通りについていろいろと調べる機会があったこともあります。
実は8月にロンドンに立ち寄る機会があるのですが、振り返ってみるとBrixton駅についてはまだブログに書いていないことが分かりました。みっちょんさんとのやりとりもあって、今回のロンドン訪問時にいずれにせよBrixton通りには行こうと思っていたため、それまでに他の場所のアップを終えて、最後のBrixton駅については最新の訪問写真も載せて地下鉄駅を中心にした「ゆかりの地」巡りの一応の完結にできたら、というのも大きなきっかけとなりました。
あと3週間ほどでロンドン行きなので、それまでに9駅分については古い写真になってしまいますが、がんばってアップしていきたいと思っています。
ロンドン駆け足ホームズツアー [ ┣「ゆかりの地」案内]
ホームズゆかりの地案内:「クーム・トレーシー(ボヴィ・トレーシー)」 [ ┣「ゆかりの地」案内]
クーム・トレーシー(ボヴィ・トレーシー)
先日紹介したダートムアに行った際に、ボヴィ・トレーシーという街にも行ってきました。ここに行ったのは偶然だったのですが、そういえば何か聞いたことがあるかもと思っていたら、クーム・トレーシーという名前で「バスカヴィル家の犬」に登場していました。
大きな地図で見る
ワトソンがなぜ、ボヴィ・トレーシーをクーム・トレーシーという名前にしたのか、手元の資料で調べてみると、ベアリング・グールドがクーム・トレーシーにつけた註は、「湿原の東にボーヴェイ・トレーシーという町があり、この町がワトソンの言うクーム・トレーシーのことであろう。クーム・トレーシーは(Coombe Tracey)というのは、単純にウィディカム(Widecombe)とボーヴェイ・トレーシー(Bovey Tracey)をくっつけてこしらえたものであろう。」(ちくま文庫「詳注版シャーロック・ホームズ全集5巻」P579)となっています。Widecombeというのはどこにあるのか調べてみると、下の地図のようにボヴィ・トレーシーから西へダートムアへ入ったところのようです。
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上に引いた註によれば、クーム・トレーシーにはレストレードを出迎えた鉄道駅があった大きな町だったということで、クーム・トレーシーはボヴィ・トレーシーとしてあてはまっているとのこと。ちなみに、このウィディカムについて、ベアリング・グールドは別の註で、「モーティマー先生の本拠のあるグリンペンの村」の註に、「地図を良くみると、ウィディカム・イン・ザ・ムーアという寒村があり、「グリンペンの村」とはこのことではないかと思われる。」(同P389)と書いています。
では、クーム・トレーシーに言及しているシーンを見ていきたいと思います。
バスカヴィル家の犬
延原訳登場シーン:「先代さまはあの朝お手紙をお受けとりになりました。あの通りご交際がおひろいうえに、ご親切なかたでございましたから、何かごたごたがありますと、みんなで
先代さまへ持ちこんでまいります。ですから、ふだんお手紙はたくさん参りましたけれども、あの朝にかぎりましてなぜか一通しかございませんでした。それで
珍しいと思いましたので覚えておりますのですが、クーム・トレーシーの消印のございます女文字の手紙でございました」(執事のバリモアの証言。)
(中略)「あっ、ローラ・ライオンズがいますよ。これなら頭文字が L.L. ですね。しかし住んでいるのはクーム・トレーシーですよ」(ワトソンからL・Lについて聞かれたモーティマー医師の答え。)
(中略)「明朝さっそくクーム・トレーシーへ出かけるのだ。そしてローラ・ライオンズ夫人といういかがわしい評判のある女に会ったら、このわからないことだらけの事件に、一新生面をひらくことができるに違いない。」(上を聞いたワトソンの日記の記述。)
(中略)「食物はどうして手にいれているのだろうね」
「セルデンの申しますには、少年をひとり連れていまして、その少年がなんでも必要な品を運んできますのだそうで、たぶんクーム・トレーシーあたりから持ってまいりますのでございましょう」(ワトソン博士がバリモアに湿原にいるもう一人の謎の人物について聞いているシーン。)
(中略)前日、私が二つの重大事件にでくわしたことはすでに述べた。一つはクーム・トレーシーのローラ・ライオンズ夫人から故チャールズ卿に手紙をおくって指定した 時と場所とが、故人の最期をとげた時と場所とにぴたりと一致していることであって、もう一つは、沼沢地の石室にひそんで、そのへんを徘徊している怪しい人物のあることだ。(ワトソンの回想)
さて、十月十七日の晩、すなわち昨夜だが、私はローラ・ライオンズ夫人のことを聞き知ったけれども、その晩はモーティマー 君がおそくまでカードをたたかわしていたので、そのことをヘンリー卿の耳にいれる機会がなかった。だが朝食のとき私はその話をして、いっしょにクーム・トレーシーへいってみないかとさそってみた。すると卿ははじめはだいぶ乗り気であったが、考えてから一人でいったほうがよくはないかといいだし、私もなるほ どと気がついた。(ワトソンの回想)
こちらがボヴィ・トレーシーの風景です。
遙かにダートムアの山を臨めます。
町の中は花が多く、小さな建物が多いこぢんまりとした印象です。レストレードが降り立った鉄道駅がある大きな町のはずですが、現在はどうなっているのでしょうか。地図を見ると現在は、鉄道の路線は走っていないようです。
駅がないと上記のクーム・トレーシー=ボヴィ・トレーシー説が覆ってしまいますので、Bradshawの1907年の鉄道路線図を見てみると、Boveyという字は見えるのですが、近くにはBovey Heathという町もあるようで、果たしてこれが当時のBovey Traceyの駅だったのかどうかちょっと定かではありません。Wikiで調べてみたところ、確かにこのBoveyの駅がBovey Traceyにあった駅だと言うことが分かりました。ちなみに路線はMoretonhampstead and South Devon Railwayで、終着駅だったようです。
この町からダートムアに行ったのですが、ここでデヴォン州の名物、デヴォン・クリーム・ティーをいただきました。クリームティーといっても、ミルクティーのようなものではなく、スコーンにクロテッドクリームを塗って、紅茶と一緒にいただくというものでした。
クロテッドクリームのうち、デヴォンで作られる物はデヴォンシャークリームと言うようで、友人にロンドンでも買えるか聞いたところ、滅多に買えないとのこと。 お土産として一つ購入してきました。
ホームズから話がそれてしまいましたが、偶然訪れた町で、デヴォンの味も楽しめましたし、こうして帰ってきてからもホームズのことで楽しめて得した気分です。
Bradshaw's Railway Map 1907: Great Britain & Ireland: The Railway Network at Its Zenith
- 作者:
- 出版社/メーカー: Old House Books
- 発売日: 2006/12/15
- メディア: 地図
ホームズゆかりの地案内:「ダートムア」 [ ┣「ゆかりの地」案内]
ダートムア
今回のホームズゆかりの地は「Finding Sherlock's London」からではなく、ロンドンから遠く離れた土地を紹介します。
ホームジアンにとってダートムアと言えば「バスカヴィル家の犬」。4作ある長編の中でも人気の高い作品で、その舞台となっているのがダートムアです。ダートムアはイギリスの南西部デボン州にある台地で、岩山と荒野が広がる荒涼とした場所です。
「ホームズゆかりの地」案内:Clapham North [ ┣「ゆかりの地」案内]
Clapham North Underground Station P17
クラッパムコモンに続いては、クラッパムノース駅周辺のゆかりの地を紹介します。
1.Priory Grove, SW 8
「四つの署名」
FSLの記載:In The Sign of Four, the cabman driving Holmes, Watson, and Miss Morstan from the Lyceum Theatre to Cold Harbour Lane in Lambeth, passed down Priory Grove.
延原訳登場シーン:「ワンズウォース通りだ。プライオリ通り、ラークホール小路、ストックウェルの広場、ロバート街、コールドハーバー小路、――あんまりぞっとしないところへつれこむな」
馬車はほんとにいかがわしくも、怪しげな街区へと乗りこんでいた。両がわには暗い煉瓦づくりの建物が続いて、わずかに角々の酒場だけが、けばけばしく下品に照り輝いているばかりだった。それぞれ小さな前庭をもつ二階建の家なみがあるかと思うと、そのつぎには煉瓦の色もま新しい新築の建物が、はてしなく続いている。
どちらかというとStockwell駅に近いような気がしましたが、
「ホームズゆかりの地」案内:Clapham Common [ ┣「ゆかりの地」案内]
Clapham Common Underground Station P16
クラッパムの周辺には、クラッパムの名前を冠した駅が3つあります。今回はその一つのクラッパムコモン駅周辺のゆかりの地案内です。