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国家の品格 [読書(自己啓発)]

どうやらベストセラーになっているようですが、タイトルに興味を持って購入してみた本です。

国家の品格

国家の品格

  • 作者: 藤原 正彦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/11
  • メディア: 新書

メッセージは、拝金主義に陥らずに日本伝統の道徳の高さを守って品格のある国家になろうということのようです。

西洋とくにアメリカの合理主義とその背景にある古典派経済学、ロックの思想、カルバン主義を批判し、日本と対比させ日本の良さを強調するという論調が終始繰り返されます。

著者は数学者でアメリカで教鞭をとるなど西洋合理主義を身をもって体験し、以前はアメリカ流を通していた時期もあったが、その後論理だけでは割り切れない大事なもの、著者が「情緒」や「形」と呼ぶものの大切さに気がついたそうです。こうした意味でいえば、単なる国粋主義者の主張ではなく、ご自身の経験を基に至った考え方と言う点では説得力はあると思います。

しかし、読みながら感じたのはあまりにも論が極端なのではないかと言うことです。西洋と日本の比較は分かりやすく理解しやすく、現在の世界におかれる日本の状況を考えれば、これくらい強く自国に誇りを持てる材料を提供してくれているのは痛快ではると思うものの、日本の伝統社会にも嫌な点はたくさんあるし、西洋文明それにこの本では触れられていないその他の文化にも良い点はあるし、これらの点への目配せがあまりにも少ない点が気になりました。もともとは講演で話した内容だそうですので、メッセージを絞り込んで話したのだろうと想像しますが、極論な物言いすぎて若干バランスを欠いているのではと思いました。一つの主張としては面白いけど、自分が本当に納得できるかというと、若干躊躇を感じます。また、国というマクロな視点での比較は分かりやすい反面、そこに生きる人を画一的に見てしまうという面もあります。日本人としてこうあるべきといくら行ったところで、いつの時代もいろいろな人がいるわけで、みんなが同じである必要はないと思います。

ホリエモンに代表される拝金主義的な風潮に疑問を感じる人たちが飛びつきたくなる気持ちは分かりますし、賛同すべき考えもたくさんあるのですが、残念ながらあまりしっくりとこなかったというのが読後の感想です。


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降龍十八章

はじめまして。
最近話題の本ですが、未だ読んでいません。ただ、著者がばりばりの右翼人間ではないらしいとはきいていました。
Tomoさんのおっしゃるとおり、私も読んだらきっとしっくりしないんだろうなと思います。どの国もいろんな人がいるので、国という枠で考えるのはおかしいですからね。
by 降龍十八章 (2006-03-26 13:19) 

Tomo

著者の方は、数学者で、イギリスやアメリカにも住んでいた方だそうです。そうした方の中には、反欧米の極端な意見を持つ人もいるということですが、著者の場合は、そこまでの一方的な意見ではなく、ある程度は認めるところは認めている面はあると思います。それでも、やっぱり言いっぱなしというか、論証が弱いような印象を受けてしまいます。講演がもとらしいので、仕方ないとは思いますが。いつか、もう少し本腰を入れた著作を書いてもらいたいものです。
by Tomo (2006-03-27 22:43) 

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