使命と魂のリミット [読書(楽しみ)]
嘘をもうひとつだけ、さまよう刃 [読書(楽しみ)]
ST警視庁科学特捜班 桃太郎伝説殺人ファイル [読書(楽しみ)]
ST 桃太郎伝説殺人ファイル 警視庁科学特捜班 (講談社文庫)
- 作者: 今野 敏
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/11/12
- メディア: 文庫
夜明けの街で [読書(楽しみ)]
最近の出張でかならず持って行く東野圭吾さんの本。今回はこの本を持って行きました。
ミステリーなのであまりストーリーにはふれないほうがいいのですが、Amazonの商品説明ではこんな感じです。
「不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた。ところが僕はその台詞を自分に対して発しなければならなくなる―。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の仲西秋葉と不 倫の恋に墜ちた。2人の仲は急速に深まり、渡部は彼女が抱える複雑な事情を知ることになる。15年前、父親の愛人が殺される事件が起こり、秋葉はその容疑 者とされているのだ。彼女は真犯人なのか?渡部の心は揺れ動く。まもなく事件は時効を迎えようとしていた…。」
物語は主人公の渡部の視点から語られるため、彼のそのときどきの感情も語られながら物語が進んでいきます。不倫に対する心の葛藤や、そうはいっても不倫の恋人との楽しいひととき。前半は恋愛小説的な展開で、いつミステリーになるかと思うのですが、徐々に過去の事件が明らかになっていくので、不倫の恋の行方と共に謎もふかまって、最後はその二つが解決を迎えていきます。
読んでいると主人公の渡部の感情を共有して、いろいろな意味でどきどきしてしまうのですが、終盤になるとむしろ不倫の恋の相手、秋葉の方に感情移入してしまうようになります。とくにラストを読むと、この話が渡部と言うより秋葉の物語だったと気づくことになります。
東野圭吾さんの本は、とくに発表順とか気にせずに、空港の書店で適当に手に取るのですが、テーマも文体も展開も、それぞれ異なっていて楽しめます。一つ共通してるなと感じるのが、犯人捜しが一筋縄でいかないこと。毎回予想を裏切られるので、その裏切られ方を楽しんでいる感じかな。読者が正解にたどり着けるヒントがあるという訳でもないので、謎解きの楽しみというよりは、ラストの展開の意外性を純粋に楽しむというのが良いようです。
核心 [読書(楽しみ)]
久しぶりにパトリシア・コーンウェルの検死官シリーズを読んでみました。
検死官シリーズは好きなシリーズで途中までは新作が出るたびに夢中で読んでいたのですが、途中からちょっと冗長になってきたような気がして、発売されてからすぐ読むという感じではなくなっています。ということで、どこまで読んだかあまり覚えていないまま、最新作を手にしてしまいました。
読み進めてみると、どうも知らないエピソードがあって、どうやら前作を読み逃していたようですが、それはおいておいて、ストーリーを楽しもうと思ったのですが、イベントはあまり発生せず、失踪したファンドマネージャと公園で見つかった死体、謎の老婆と俳優、スカーペッタに送られた小包、といったことを中心に淡々と進んでいきます。ラストでかなり足早に展開するのですが、それまでのゆったりとした展開に比べるとかなり急に進みすぎている印象で、もう少し盛り上げてくれても良かったのにと思ってします。
以前はスカーペッタの一人称だったので、心象についてはスカーペッタのものだけが描かれていたのが、いつからか三人称になっていて、登場人物たちの思っていることも描かれていて、それもあまり明るい内容ではないのでちょっと疲れる気もしました。
本作では、これまでの因縁についても一応の解決をみますので、今後は新しい展開になっていくのでしょうか。なんだかんだ言っても、次も読んでしまうんだろうと思います。やはり馴染みのキャラクターたちに会えるのは楽しみでもあるのかもしれません。
IWGPコンプリートガイド [読書(楽しみ)]
池袋ウェストゲートパークシリーズも先日紹介した「PPIDE」で10作目ということで、これまでのIWGPシリーズのまとめとして、こんな本が出されていました。
内容は作者の石田衣良さんのインタビュー、全40ストーリーの紹介、作中で使われたクラッシック音楽の解説、登場人物紹介、などなど。
登場人物紹介で挿絵があるのですが、マコトやタカシのイメージを自分の中で勝手に想像してたので、ちょっとがっかりだったかも。でもまあすでにドラマ化や漫画化もされてるのでいまさらかもしれないですね。
石田衣良さんもこの本の中で言っていますが、IWGPという入れ物ができたことで、いろんなテーマを描くことができたそうです。果物屋の息子でトラブルシューターのマコトがいて、ストリートギャングのキングでクールなタカシがいて、ヤクザになった同級生のサルがいて、警察の吉岡さんがいて。そして中でも忘れてはいけないのがマコトの母。肝が据わってちょっとぶっきらぼうだけど、情に厚い性格で、気っぷが良くてというIWGPシリーズではいなくてはならないキャラです。このIWGPの世界に、現実に問題となっているさまざまな社会現象を反映させた事件が起こって、マコトがそれを解決していく。集団自殺だったり、ドラッグだったり、少年犯罪だったり。登場人物達の言葉を通じてリアルな問題として迫ってきます。そして最終的には人の優しさや強さが事件を解決していく中で、希望を感じることができます。
おまけに、書き下ろしの短編が一編収録されています。PRIDEの方では出てこなかったのですが、前作でマコトの妹になった中国人のクーが活躍する一編でした。せっかく家族が増えたのに本編にでてこなくてがっかりしたのですが、こちらで登場してくれて満足です。
そういえば、先週の日曜日は、池袋の書店で石田衣良さんのサイン会に行ってきました。150人限定だったのですが、先々週に「PRIDE」を購入した際に整理券をもらえたのでいってきました。石田衣良さんはきさくな方で、本に名前とサインを書いてくれて、さらに何か書いて欲しい言葉がありますかと聞いてくださりました。そして握手してもらい写真をとってもらうなど、実に丁寧に対応してくれて感激でした。 ますますファンになりました。
PRIDE 池袋ウェストゲートバークⅩ [読書(楽しみ)]
本屋を歩いていると石田衣良さんの池袋ウェストゲートパークシリーズの最新巻が発売になっていました。
いつものように4編を収録。帯にかかれていたのは、
- 携帯電話のデータを盗まれたITエリート
- 弟に重症を負わせた暴走自転車を探す姉
- 三十路になっても夢を諦めない地下アイドル
- 暴行被害から立ち直ろうとする美女
サルの出番はないものの、マコト、タカシ、マコトの母など主要人物はいつものとおり。スマートフォンや自転車といった最近の世相を反映させた小物が登場するのもここ最近のIWGPシリーズどおりでした。
ストーリーには触れませんが、いつもと同様、スピードを感じさせるストーリーと文体であっというまに読み終わってしまいました。1年待って、たった一晩で楽しみが終わってしまうのが大変残念。しばらく連載の方も間が空くようで、つぎの巻がでるのはかなり先になってしまうそうです。
購入したのが池袋の書店だったからか、石田衣良さんのサイン会の整理券をもらいました。明日日曜日の夕方のようなので、行ってみようと思っています。サイン会って初めてなのですが、何かお話とかできる時間あるのでしょうか。楽しみです。
適当教典 [読書(楽しみ)]
iPhoneで読める電子本を買ってみました。自己啓発的なものは電子本だと参照しにくいと思ってたので、時間あるときにぱらぱら読めるこんなものを。
高田純次さんが、自分の昔の話を語りつつ、読者(?)の悩みに答えるという形で進みます。
適当教典だけあって、全面的に適当さ加減がちりばめられつつ、下ネタ全開ですすんでいきます。
高田さんの適当な芸風はとても好きなのですが、文章にしてもなかなか面白いというのは、やっぱり何か適当にも才能があるような気がしてきました。自分も適当な面があるので、これくらいまで極められたら人生楽しそう。
iPhoneで気軽に空き時間に読むという目的にはぴったりの本でした。高田さんの適当本はもう一冊iPhoneで出てるので、いずれそちらも読んでみようと思います。
マリアビートル [読書(楽しみ)]
新宿駅の駅内の本屋さんで、伊坂さんの新作のポスターが貼ってありました。書き下ろしの新作だそうです。
殺し屋(+狡猾なな中学生)達がそれぞれの仕事をするために盛岡行きの新幹線に乗り込んで・・・、というのがストーリーです。もちろん伊坂さんの作品なので、個性豊かな殺し屋達が登場し、それぞれの目線から話が展開し、徐々に絡み合って最後に大団円という、気持ちの良い読書体験が楽しめました。
伊坂さんの作品では、他の作品の登場人物がちょい役で登場したり、作品同士がゆるくつながっています。殺し屋達の話としては、グラスホッパーという作品がありますが、このマリアビートルはその続編とも言える内容で、随所にグラスホッパーに登場した人物やエピソードがちりばめられています。蝉や鯨など、懐かしい名前も所々に登場するので、彼らがどんな殺し屋だったか、もう一度読み返してみたくなりました。
タイトルのマリアビートルですが、英語でテントウ虫をさすレディビートルからきた言葉のようです。レディ=マリア様ということでマリアビートル。前述のグラスホッパーがバッタですので、虫の名前で統一しているのでしょうか。登場人物の一人が天道虫というあだ名になっていますし、彼の仲介人が真莉亜なので、この組み合わせとも言えるのかも。作中で押し屋(ターゲットの背中を押して交通事故にみせかける殺し屋)・槿がふと考える「マリア様の七つの悲しみを背負って飛んでいく。だから、てんとう虫はレディビートルと呼ばれる。(中略)見ているものは、その黒い斑点ほどの小ささではあるが、自分の悲しさをその虫が持ち去ってくれた、と思うことができる。俺の仕事とは正反対だと、槿は感じる。」(P436)というところで、少しタイトルの由来が分かる気がしました。
最近の伊坂さんの作品は、あえて昔のパターンをはずして構成しているものもあって、ある意味で新しい作風としてうれしいのですが、本作のような、ある意味鉄板の(といっても先が読めない)構成で物語が進む伊坂作品もやはり捨てがたい。
それから、これは前も書いたかもしれませんが、違った目線を切り替えながら、時には時系列も入れ替えて進む手法は、私の好きな「パルプ・フィクション」にも通じるところがあって、それも伊坂さんの作品が好きな理由。ちょっと残酷な描写が出てきたり、会話のテンポがいいところなども共通しているところかな。
一気に読み終わってしまいました。
誰も寝てはならぬ3 [読書(楽しみ)]
かなり初期のころの「誰も寝てはならぬ」を読み返してみました。
まだ週刊モーニングで連載中の作品ですが、読み返してみるとこのころからあまり進展がないのがすごいところ。ストーリー漫画でもギャグの読み切りでもなくその中間のような不思議な作品です。
小さくてゆるいデザイン会社のオフィス寺の社長のゴロちゃんとデザイナー(?)のハルキちゃんが主人公です。ゴロちゃんは3回離婚した恋愛マスター。恋愛を登山に例えて表現する恋愛クライマー。はるきちゃんは、大御所の画家の孫で、奥さんを女性にとられてしまったバツ一のお兄さん。二人は幼なじみの同級生。
3巻を読んでてハルキちゃんって自分に似てると思えるのが二カ所ほどありました。あるエピソードで、頭痛持ちのハルキちゃんが首と頭が痛い時間が長くなってきたので、お医者さんに行ったところ言われたのが、普通は首の骨は少し反ってるのに、ハルキちゃんの首の骨は梯子をかけたように真っ直ぐなので、頭痛があるということ。実は私も昔サッカーでジャンプヘッドして着地したら首をねんざしたことがあって、お医者さんでレントゲンを撮ったらまったく同じことを言われました。真っ直ぐで衝撃を吸収してくれないので首痛くなるとのことでした。
もう一つ共通点を発見したのが、シャツを着てネクタイをすると「オエ」となること。私も昔から首の絞まるシャツを着ると吐き気がして大変でした。さすがに社会人になって慣れてきてはいるものの、ワイシャツの首回りは通常よりも少し余裕を見たサイズにしています。本当はネクタイをしないで良い仕事をしたかったのですが、いまだに達成できていません。
たぶんゴロちゃんとハルキちゃんって、年令はちょっと上だけど同世代っぽくて、ところどころ共感できる点があるのがこの漫画の楽しいところです。前作の「大阪豆ご飯」も面白かったけど、そんなこともあって、こちらの方が好きな作品です。あまり展開もないのでこのまま末永く連載が続いて欲しいと思います。