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注釈付きシャーロック・ホームズ全集 [ ┗研究書・パスティーシュ]

試験が終わってからホームズ関係の本をたくさん注文してしまっています。

今回購入したのは有名なホームズ研究家であるW.S.ベアリング・グールド氏による注釈のついたシャーロック・ホームズ全集です。原題は「The Annotated Sherlock Holmes」。

The Annotated Sherlock Holmes: The Four Novels and Fifty-Six Short Stories Complete

The Annotated Sherlock Holmes: The Four Novels and Fifty-Six Short Stories Complete

  • 作者: Arthur Conan, Sir Doyle
  • 出版社/メーカー: Outlet
  • 発売日: 1992/09
  • メディア: ハードカバー

 

事前情報ではVol1とVol2があるはずだったのですが、なぜか到着した本は一冊。(といっても百科事典一冊分くらいの大きさです。)中をよく見ると一冊の中にVol 1とVol 2が入っていたのでした。古い本らしく装丁もなかなか立派です。

注釈付きと言えば、先日購入した「New Annotated Sherlock Holmes」というがありますが、ホームズ全集に初めて注釈を付けたのがこちらのベアリング・グールド氏によるものでした。しかも、特徴的なのは、グールド氏が特定した事件発生年に沿ってすべての短編・長編を再配置していることです。従って、全集の最初をかざる作品は「緋色の研究」でもなく「ボヘミアの醜聞」でもなく、「グロリアスコット号」となり、「マスグレーブ家の儀式」へと続きます。(どちらもホームズがワトソンと出会う前の事件)

(厳密に言えば、「グロリアスコット号」の前に、ドイルの略歴、ホームズ作品の海外での翻訳史、パロディ史、ホームズを演じた役者、研究史、ホームズとワトソンの来歴、モリアーティ教授についての考察、ベーカー街221B考などが100ページにわたって述べられた前段があります。)

章立ても、初期のホームズの活動、ワトソンとの出逢いからワトソンの最初の結婚まで、ワトソンの最初の結婚から最初のワトソン夫人の死まで、といったように時期によって区切られています。(なお、グールド氏はワトソン3回結婚説にたっています。)

注釈付きということで、作品の中にでてくる語句についての説明が付されていますし、また作品の間には必要に応じていくつかの捕捉のための解説が入っています。

1967年に書かれたと言うことは今から40年前ですね。ホームズ研究家は数多くおりますが、このグールド氏は、この注釈付き全集(とホームズの伝記「ガス燈に浮かぶその生涯」もでしょうか)で一つの金字塔を打ち立てたと言えると思います。もちろんこのあとも研究が続けられ、その成果がKlinger氏の新注釈付き全集に反映されているのですが、当時よくこれだけのものを作ったものだと感心します。

全部を読み切ることは難しいと思いますが、上で述べた前文や作品の合間に挟まれた解説くらいは少しずつ読み進めていきたいと思います。

ホームジアンとして、そろえておきたい文献の一つが手に入り嬉しく思っています。

あと注釈付きで有名なものとしてオックスフォード版注釈付き全集というのがあるのですが、一冊ものではなく長編、短編集とバラバラに出ているので、購入をためらっています。(Klinger氏の註も、実はまとまった版ではなく、バラバラに出ているものの方が詳しいようです。)基礎文献を揃えるだけで、一苦労ですね。

ちなみに日本では筑摩書房から注釈も含めた翻訳が発売されています。ほしいほしいと思いながら買っていなかったので、日本に帰ったら揃えたいと思っています。

詳注版シャーロック・ホームズ全集 (1) (ちくま文庫)

詳注版シャーロック・ホームズ全集 (1) (ちくま文庫)

  • 作者: コナン・ドイル
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 文庫

 

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