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グラスホッパー [読書(楽しみ)]

伊坂幸太郎さんの本をまた読んでみました。

グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/06
  • メディア: 文庫

伊坂幸太郎さんの本、最近は「ラッシュライフ」や「鴨とアヒルのコインロッカー」なんかを読んだのですが、複数の物語が少しずつ絡んで、最後に一つになっていくという手法が得意な方のようです。

このグラスホッパーも、3人の主人公それぞれの目線から物語が進み、次第に交わりあってクライマックスとなります。

一人目の主人公は、元教師でひき殺された妻の復讐を企む鈴木。妻を殺した男にせまるべく怪しい会社に潜入したばかりです。もう一人は、依頼によって人を自殺させる自殺屋・鯨。190センチを超える大男で、見つめた相手を自殺に追い込むふしぎな能力をもちつつ、自殺させた人たちの幻覚に悩まされています。そして最後の一人がナイフを使う殺し屋・蝉。何も考えず仕事としての殺しを行う若い男です。

この3人ですが、さらにもう一人の殺し屋である「押し屋」を巡ってお互いの運命が重なっていきます。押し屋というのは、人を押して交通事故に見せかける、謎の殺し屋です。

鈴木は復讐相手を押し屋に目前で殺され、鯨はかつて失敗した仕事を押し屋に奪われ、蝉は押し屋の居所を知る鈴木を拉致しようとして、それぞれが出逢います。その後の展開こそが、伊坂幸太郎さんの真骨頂なのでここでは述べることはしませんが、三人の目を交互にとおして進む物語は、先の展開がしりたくなりどんどん引き込まれていきました。

伊坂さんの小説では、いつも分かったようなことを言う人物が登場して、その言葉が物語のキーとなっていたりするようですが、この作品でも鈴木の妻の言葉や、蝉の雇い主が引用するジャック・クリスピンなる歌手の言葉など、意味深な言葉が微妙に物語の展開にかぶっています。この辺の言葉というのが、彼がこのちょっとヴァイオレントな話を通じて伝えたいことなのかもしれないと思ったりします。

今回は時間軸にそって物語が展開されていき、時間をずらした手法というのはあまり使われていません。 ラッシュライフなどで感じた、パルプフィクションにも通じる構成は感じませんでしたが、殺し屋達が交錯するスリリングさは強く感じることができます。ロドリゲスの「デスペラード」に近い感覚でしょうか。

あっという間に読み終わってしまいました。


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コメント 6

Yuki

この方の本は、まだ読んだことがありません。
殺し屋が出てくる、サスペンスなんですね。(*^-^)
by Yuki (2009-03-23 01:26) 

くろた

おもしろそうですねー。
そういえば最近まともな本読んでないです。。。
by くろた (2009-03-23 14:56) 

Tomo

>Yukiさん、こんばんは。

そうですね、伊坂さんの話はだいたい人が死ぬことがおおいようですから、ミステリーというかサスペンスというか、そちら方面ですね。ちょっとグロいところもあるのですが、ふしぎなストーリーなので読み進めてしまいます。
by Tomo (2009-03-23 23:50) 

Tomo

>くろたさん、こんばんは。

面白かったですよー。一晩で読んでしまいました。次の展開が読めそうで読めないのが楽しいところかもしれないです。
by Tomo (2009-03-23 23:51) 

Pace

これもとても気になっている1冊です(’’)
しかし今、テンペスト(結構長いです)を
読み始めたところで、手にできるのは
先になりそうです・・・。
by Pace (2009-03-24 00:38) 

Tomo

>Paceさん、おはようございます。

テンペストってシェークスピアですか?池上永一?

伊坂さんの本は、あっという間に読めてしまうので、どんどん次を読みたくなってしまいます。
by Tomo (2009-03-26 06:43) 

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