虚空 [読書(楽しみ)]
ロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズの比較的最近の作品です。
スペンサーシリーズは、初めて読んだのが「初秋」だったため、他の作品を読んだときに、あまりの違いに驚いたのを覚えています。というか、「初秋」がかなり変わった探偵小説(といえるかどうか分かりませんが)だったためです。その後、ペーパーバックも含めて、ほとんどの作品を読んでるのではないかと思いますが、ますます広がり、深まっていくスペンサーとその仲間たちに、毎回楽しませてもらっています。
最初の作品が1973年で、スペンサーは確か朝鮮戦争に言ってるはずなので、実際の年齢にしてみると、すでに70歳近くなっているのですが、うれしいことに、40代くらい(?)で、あまり変化していません。
料理が好きなことは一貫していて、本作でもバーベキューのシーンがあったり、レストランに食べに言ったときのメニューが詳しく書かれていたりで、他のハードボイルドものとの違いになっています。他にも、食べ物へのこだわりも多く、最近ではデカフのコーヒーがやたらと登場したり、ビールも好みがだんだん変わってきたりするのも楽しいところです。
今回は、いつも登場するホークがでてこないのが少々残念ですが、いつもは影が薄いフランク・ベルソンがストーリーの中心になっていて興味深いところです。ホークが出ない代わりにチョヨというLAのガンマンが登場するのですが、同じくガンマンのビニーと違って、前回の登場をあまり覚えていなかったこともあり、それほど感情移入できませんでした。
物語はいつものとおり、スペンサーの視点ですすむかと思いきや、ところどころで誘拐されたベルソンの妻の視点も入り、いつもと若干違った印象を受けます。(犯人視点もあったように覚えていますが、こんなに頻繁に挿入されてなかったと思います。)効果的かどうかというと、個人的にはそれほど良かったとは思えませんでした。
スペンサーシリーズは、それほど大きな謎もないので、ミステリーというよりは、スペンサーやホークのキャラクターを楽しむものだと思います。ぶっきらぼうだけど深みのある男同士の会話や、スーザンとのちょっと知的な会話(たまに痴的なのですが)、素手だったり銃だったりしますが戦いのシーンなど、基本的にいつも同じなのですが、そこが安心感があっていいのかもしれません。
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