美味しんぼ塾 [料理・ワイン・料理本]
ご存じ「美味しんぼ」の作者、雁屋哲氏の食に関するエッセイ集です。
さすが、美味しんぼの原作者だけあって、食への追求が半端ではありません。といっても、食通ぶった高級料理や高級食材自慢になるわけではなく、ラーメンや丼ものといった、どちらかというと庶民的な料理へのこだわりというか、思い入れがこれでもかというほど語られるエッセイが満載です。
35万円掛けて作ったラーメンの話とか、餃子の話など、ご自分の経験もちりばめつつ、印象的なエッセイとなっています。
美味しんぼにでてくる、エピソードの元ネタになっているような話もたくさん書かれており、美味しんぼがさらに楽しめる一冊となっています。帯に書かれている「美味しんぼ創作の秘密が今、明らかにされる!!といのもあながち誇張ではありません。
しかし感じるのは、この世代特有というわけではないのかもしれませんが、その一種独特のエネルギッシュさです。身近な人でも感じますが、昔の日本のおじさんたちは打ち込む対象にもよりますが(仕事や飲みが多いかも)、ものすごいエネルギーでもって、邁進してたんだなーということです。雁屋氏も、食べ物のことにこれだけこだわって猛進してたのであれだけの漫画の原作ができたのかと、感心します。もちろん、若い世代でもエネルギッシュな人は多いけど、やっぱりその本気度というか、脇目もふらないという姿勢は、上の世代にかなわない気がしてしまいます。戦争や戦後を経験したためなのでしょうか、アドレナリンを出す対象が少なかったからなのでしょうか。
最近、脇目もふらず猪突猛進という経験が少なくなってきていて、すこし反省気味です。仕事でも食べることでも、なんでもいいから一つくらいそうした対象がほしい今日この頃です。
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