「ホームズゆかりの地」案内:Limehouse [ ┣「ゆかりの地」案内]
Limehouse DLR Station P28
今回ご紹介するのは、Isle of Dogsの付け根の西側にあるLimehouseです。こちらもTubeではなく、DLRの駅となっています。
周辺はインド系、中東系の人が多いようですが、所得は中流以上といった感じの団地や家が多い印象です。
1.Ratcliff Street and The Highway (Ratcliff Highway), E1
「黒ピーター」
FSLの記載:In Black Peter, Holmes asked Watson to sen a telegram for him. It read, "SUMNER, SHIPPING AGENT, RATCLIFF HIGHWAY. SEND THREE MEN ON, TO ARRIVE TEN TOMORROW MORNING. - BASIL.” Holmes said that Basil was his name in those parts.
延原訳登場シーン:「しめたッ! 二者択一が発展してきたぜ、ワトスン君。電報頼信紙あるね? ちょっと二本ばかり書いてくれないかい。一本はラットクリフ・ハイウェーのサムナ回漕店あてで、本文は『アス朝十時マデニ三人ヨコセ』というのだ。差出人はベージル――その方面での僕の通り名なんだ。」
どうやら作品中の名称は、二つの通り名、Ratcliff StreetとThe Highwayが混ざっているというのが、FSLの解釈のようです。
Ratclff Streetは、Limehouse駅を出てすぐの小さな通りでした。
そしてThe Higwayは、かなり大きな道を予想していたのですが、群を抜いて大きいというほどではありませんでした。
Ratcliff Streetの方は、本当に小さい道ですので、ここに回漕店(Shipping Agent)があったようにも思えません。当時はDLRの駅はなかったわけですから。ということで、The Highwayの方にあったのじゃないかと思い、帰宅して当時の地図(1902年)を確認したところ、The Highwayという通りはなく、High Streetというのが現在のThe Highwayのあたりにあります。ただ、当時からRatcliff Highwayという呼び方はあったようなので、このあたりを指して言っていたのでしょうか。Klingerの本も、Vineyの本も(下参照)、Ratcliff Highwayとして写真を掲載していますので、確かに存在した地名のようにも思えます。ここには船員向けの店や宿、その他船舶関係の店が並んでいて、かなり柄の悪い地域として有名だったと書かれています。
ネットで調べてみたところ、このページに記載がありました。ここによれば、1902年の地図にあるSt. George's Street、今の地図ではThe Highwayの西側、の古い名前がRatcliff Highwayだったということのようです。上の写真はThe Highwayの東端ですので、実際はもう少し先に行ったところがRatcliff Highwayだったようです。
FSLに記載されていませんがもう一箇所、Ratcliff Highwayが登場しています。
「緋色の研究」
延原訳登場シーン:デイリイ・テレグラフ紙 こんどの事件が犯罪史上ほとんど類例を見ない怪事件であると述べ、被害者の名がドイツ系であること、犯罪の動機がほかに見あたらないこと、壁面の奇怪な文字などは、すべてこの事件が政治的亡命者または革命家の手によって行われたことを語るものであるとし、なお社会主義者は多くの支部をアメリカにもっているから、被害者はおそらく彼ら一派の不文律を犯したため、その追及をうけたものであろうとし、さらに夜間秘密裁判制度、トファナ水、カルボナリ党、ブランヴィリエ侯爵夫人、ダーウィンの進化論、マルサスの人口論、およびラトクリフ・ハイウェーの殺人事件にまで調子にのって言及したのち、政府に警告をして国内在住の外人にたいしていっそう厳重な監視をなすべきだと結んでいる。
これまで紹介してきた「ホームズゆかりの地」については、ホームページ「The World of Holmes」(管理人:みっちょんさん)の、「地下鉄駅を中心にしたホームズゆかりの地案内」のコンテンツで、リストにしてくださっています。みっちょんさんありがとうございます。
現地探訪はこちらの本を基に行っています。(本文ではFSLと略しています。)
Finding Sherlock's London: Travel Guide to over 200 Sites in London
- 作者: Thomas Bruce Wheeler
- 出版社/メーカー: Iuniverse Inc
- 発売日: 2003/09
- メディア: ペーパーバック
- 出版社/メーカー: インターチャネル・ホロン
- 発売日: 1998/02/06
- メディア: ソフトウェア
その他に参考にしている本はこちら。
Sherlock Holmes in London: A Photographic Record of Conan Doyle's Stories
- 作者: Charles Viney
- 出版社/メーカー: Smithmark Pub
- 発売日: 1995/09
- メディア: ハードカバー
この本は日本語訳も出ているそうです。
シャーロック・ホームズの見たロンドン―写真に記録された名探偵の世界
- 作者: チャールズ ヴァイニー
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1997/03
- メディア: 文庫
原典にあたるときはこちらの新注釈付ホームズ全集を使っています。注釈があるので場所の特定に困ったときなど助かっています。
The New Annotated Sherlock Holmes 150th Anniversary: The Short Stories
- 作者: Arthur Conan, Sir Doyle, Leslie S. Klinger
- 出版社/メーカー: W W Norton & Co Inc
- 発売日: 2004/11/08
- メディア: ハードカバー
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