「ホームズゆかりの地」案内:Rotherhithe [ ┣「ゆかりの地」案内]
Rotherhithe Undergraound Station P37
Shadwellからチューブに乗って、テムズを越えた南岸に渡ってすぐがRotherhitheになります。
ここは1843年に開通した世界で初めての川の下を通したトンネル、Thames Tunnelで有名な場所だそうです。ここと対岸のWappingが結ばれています。現在、トンネルはチューブの電車が通るトンネルとして使われています。
こちらは地下鉄構内にある銘板です。
工事を行った技師、Isambard Brunelを記念した博物館も川の近くにありました。
さてホームズ作品ではどのように登場するのでしょうか。
1.Rotherhithe, SE18
「瀕死の探偵」
FSLの記載:In Victorian times, this dockside area, across the Thames from Wapping, was a very rough place. In The Dying Detective, Holmes, supposedly, picked up a coolie disease in Rotherhithe, and returned to Baker Street to die.
延原訳登場シーン:ホームズが病気だとは初耳なので、私はびっくりした。大急ぎで外套と帽子を手にとったことはいうまでもない。馬車のなかで詳しいことをきいてみた。
「私にもよくはわかりませんのでございますよ。事件でロザハイス――テームズ河を下ったところにあるあの町へ行っていらっしゃいましてね、病気をしょいこんでお帰りになりましたのですよ。水曜日の午後からお寝みになったきりなんでございます。これで三日、何も召しあがりません」
こちらがRotherhithe駅近くのテムズ川の様子です。
対岸がWappingとなっています。
この辺の船着き場にいた船員から熱帯病であるクーリー病をうつされたされたという設定なのでしょうか。現在、荒っぽい地域なのかどうかは、正確には分からないのですが、一見するところ落ち着いた住宅地のようでした。
ところで、この「瀕死の探偵」事件では、ホームズはハドソン夫人とワトソンをだまして、犯人のカルバートン・スミスを呼び出しています。なぜいつも相棒のワトソンに真相を知らせずに芝居がかったやり方をするのか不思議に思っていました。「高名な依頼人」でも、ワトソンには自分が盗みにはいることを知らせず、グルーナー男爵に付け焼き刃の陶器に関する知識で時間稼ぎをさせています。
その答えが実はこの中で書かれていました。
「君はいろいろ勝れた才能をもっているけれど、そらとぼけてみせる芸だけは、決してできない男だからね。」(ホームズ談)
ワトソンが真相を知っていると、犯人に余計な警戒をさせてしまうということなのでしょうね。
そういえバスカヴィル家の犬でもホームズが近くにいることを知らされていませんでしたし、他にもこれから何が起こるか知らされぬまま事件につきあわされていることも多いです。読者としては、ワトソンが驚く様を彼の言葉で追体験できて良いのですが、もしかしたら劇的な演出が好きなホームズのこと、こうした効果もねらって、わざと真相をぎりぎりまで教えないということもあったのではないかと思いました。
これまで紹介してきた「ホームズゆかりの地」については、ホームページ「The World of Holmes」(管理人:みっちょんさん)の、「地下鉄駅を中心にしたホームズゆかりの地案内」のコンテンツで、リストにしてくださっています。みっちょんさんありがとうございます。
現地探訪はこちらの本を基に行っています。(本文ではFSLと略しています。)
Finding Sherlock's London: Travel Guide to over 200 Sites in London
- 作者: Thomas Bruce Wheeler
- 出版社/メーカー: Iuniverse Inc
- 発売日: 2003/09
- メディア: ペーパーバック
- 出版社/メーカー: インターチャネル・ホロン
- 発売日: 1998/02/06
- メディア: ソフトウェア
その他に参考にしている本はこちら。
Sherlock Holmes in London: A Photographic Record of Conan Doyle's Stories
- 作者: Charles Viney
- 出版社/メーカー: Smithmark Pub
- 発売日: 1995/09
- メディア: ハードカバー
この本は日本語訳も出ているそうです。
シャーロック・ホームズの見たロンドン―写真に記録された名探偵の世界
- 作者: チャールズ ヴァイニー
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1997/03
- メディア: 文庫
原典にあたるときはこちらの新注釈付ホームズ全集を使っています。注釈があるので場所の特定に困ったときなど助かっています。
The New Annotated Sherlock Holmes 150th Anniversary: The Short Stories
- 作者: Arthur Conan, Sir Doyle, Leslie S. Klinger
- 出版社/メーカー: W W Norton & Co Inc
- 発売日: 2004/11/08
- メディア: ハードカバー
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