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魔犬の復讐 [ ┗研究書・パスティーシュ]

確か学生のころに購入したホームズのパスティーシュです。

魔犬の復讐―新シャーロック・ホームズ (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

魔犬の復讐―新シャーロック・ホームズ (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

  • 作者: M. ハードウィック
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 1989/01
  • メディア: 文庫

舞台設定は1902年、エドワード7世の戴冠式を目前にしたロンドンです。ハムステッド・ヒースに現れた魔犬の噂、国王が皇太子時代に女性にあてた手紙の奪還、クロムウェルの遺骨の発見と紛失、フェリー上での殺人、と次々に起こる事件が絡み合ってそれらが一つにつながり・・・というのがストーリーです。

楽しいのはホームズの世界が忠実に再現されているところ。1902年と言えば、「3人ガリデブ」や「フランシス・カーファックス姫の失踪」が起こった年で、本書の中でもきちんとワトソンがフランスに行くくだりも挿入されています。またこの年の7月にワトソンがベーカー街からクイーン・アン街に転居するのですが、この理由としてワトソンが3回目の結婚をするというエピソードが描かれています。(ベアリング・グールド説に立ってワトソン3回結婚説のようです。)また翌年にホームズは引退することになるのですが、本書の中でホームズが引退を臭わせています。他にも「バスカヴィル家の犬」が前年に発表されたこともストーリーに重要な役割を果たしていたり、レストレードやグレグスン、マイクロフト、ハドソン夫人も登場したりと、原作を知っていればいるほど楽しめる仕掛けになっています。
もちろんストーリーも凝っていますので、探偵ものとして読んでも楽しいと思います。ワトソンの一人称で進むのは正典同様なのですが、若干、現代的な文体に感じるところがあります。またかなり長いので、前半、事件がバラバラに起こってくるあたりは冗長に感じました。ただ、後半はこれらの事件の関係が明らかになってきて、展開も早くなっていくところが醍醐味なので、その盛り上がりのためと思えばやはり必要なのかもしれません。

作者はシャーロッキアンでもあるそうで、ホームズの世界を忠実に再現しているところはさすがです。また正典の背後にあったであろうストーリーを構築しているという意味では正典を補完しようという意図も見えて好感が持てます。

久しぶりに読んだのでストーリーをほどよく忘れていたこともあり、再読でも愉しむことができました。


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コメント 2

降龍十八章

ワトソンって結婚したはずなのに・・・
と、子どものころは不思議でした。
まさか、奥さんにあきると毒殺していたのではないでしょうね?
by 降龍十八章 (2007-12-15 16:57) 

Tomo

ワトソンがいろんな時代にベーカー街から出たり入ったりしてるのが混乱の基なんですね。合理的に考えると3回結婚説というのが矛盾がないようなのですが、ちょっと多い気もしますね。
by Tomo (2007-12-16 02:46) 

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