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国際シンポジウム「Global Health as Global Agenda」 [公衆衛生]

今日は午後休暇を取って国際シンポジウム「Global Health as Global Agenda」というのに行ってきました。忘れないようにメモしておきます。


開催趣旨: 今回のシンポジウムは翌1月16日から18日まで神戸で開催されるWHO のSDH(Social Determinants of Health: 健康の社会的決定要因)委員会にあ わせて開くものです。SDHには所得、社会的地位、教育、労働環境など が含まれ、社会的不平等に基づく健康問題を解決する手段として注目を 浴びています。また、日本は来年七月に開催される北海道洞爺湖サミッ
トの議長国及び来年五月に開催される第4回アフリカ開発会議(TICAD4) の共催国として、グローバルヘルスの課題に取り組むこととしていますが、その柱となる「人間の安全保障」の概念は今回のシンポジウムのテ ーマであるSDHに深く関係するものであり、元国家元首を含む多彩なシンポジストによる議論に期待します。
 
日  時: 平成20年1月15日(火) 13:30 ~ 15:30
 
会  場: 三田共用会議所 1F 講堂
住所: 〒108-0073東京都港区三田2-1-8
TEL: 03-3455-7591 ※別添地図参照
 
参 加 費: 無料
 
定  員: 150名(予定)
 
使用言語: 日本語、英語 (同時通訳有り)
 
主  催:  財団法人 日本国際交流センター、社団法人 国際厚生事業団
 
後  援: 外務省、日本医師会

プログラム

平成20年1月15日(火) 於: 三田共用会議所 1F 講堂
 
13:30-13:45
開会挨拶
舛添 要一   厚生労働大臣(予定)
 
13:45-14:00
第一部 基調報告
「健康の社会的決定要因に関する委員会が目指すもの(仮題)」
Prof. Michael Marmot ロンドン大学疫学・公衆衛生学 教授、世界保健機関(WHO)
「健康の社会的決定要因に関する委員会」 議長
 
14:00-14:30
第二部 基調講演
「グローバル・ヘルス、そして人間の安全保障において日本が果たすべき役割」
武見 敬三  前・参議院議員、ハーバード大学公衆衛生学部 リサーチフ
ェロー、財団法人 日本国際交流センター シニア・フェロー
 
14:30-15:30
第三部 シンポジウム “Global Health as Global Agenda”
座長: 
黒川 清    内閣特別顧問
シンポジスト:
1) Prof. Sir Michael Marmot ロンドン大学疫学・公衆衛生学 教授、世界保健機関 (WHO)「健康の社会的決定要因に関する委員会」 議長
2) 武見 敬三  前・参議院議員、ハーバード大学公衆衛生学部 リサ ーチフェロー、財団法人 日本国際交流センター シニ ア・フェロー
3) Dr. Pascoal Mocumbi 前モザンビーク共和国首相、欧州・開発途上国臨床試験プログラム(EDCTP) 上級代表
4) Prof. Frances Baum フリンダース大学公衆衛生学 教授
5) Mrs. Mirai Chatterjee インド女性自営労働者組合(SEWA) 社会保障担当
6) 國井 修 国連児童基金(UNICEF) ミャンマー事務所 健康・栄養 担当主任
7) 中村 安秀   大阪大学大学院 教授


 今年は日本でアフリカ開発東京会議やサミットが行われ、MDGの中間年でもあるということで、今後も興味深いイベントが目白押しになりそうですが、今日はその一環のようです。

日本は前回沖縄でサミットが開催されたときも世界の感染症対策を強化するということで沖縄感染症イニシアティブというものを発表し、その後感染症対策への協力を進めてきました。今回のサミットでも(というか毎回のサミットで、ですが)国際保健が重要なアジェンダとなるという趣旨から、こうしたシンポジウムでその主題がどのような内容になっていくのかということがうかがえると思います。

今日の発表を聞いたところ、今後の日本の取り組みとしては、政策や規制といったトップダウンのアプローチと参加型のボトムアップのアプローチをバランスよく組み合わせたアプローチ、選択と配分の集中、保健システム強化、コミュニティヘルスワーカーとボランティア組織の強化といった日本が戦後進めてきた公衆衛生対策を反映させたものというのが方向性のようでした。

これに対してマーモット教授が言っていたのは、プライマリヘルスケアや保健システムの強化なども「健康の社会的決定要因」を考慮していかないと成功は難しいといっていたことでしょうか。健康の社会的決定要因というのは、ロンドンでプライマリヘルスケアのコースをとったときにも盛んにいわれていたことですが(ここにも書いてありました)、医学の技術革新が思ったほど人々の健康にインパクトを与えておらず、所得格差や栄養状態、労働環境、ジェンダー格差、医療サービスへのアクセスの差、といった社会的要因が健康に影響を与えているというものです。

プライマリヘルスケアの授業ではこの社会的決定要因というものについて非常に力を入れられていたのですが、背景にはこうしたWHOのコミッションができていたということがあったのですね。当時情報としては知っていたはずなのですが、コミッションの存在や内容などについては意識していなかったようです。コミッションについてはこちらにかかれていますし、今年の6月にはファイナルレポートも出されるようです。

途上国での保健プロジェクトなどでは、保健サービスの人材や施設の向上、参加意識の向上といったアプローチをとることが多いのですが、人々の収入がないと薬が買えないとか、教育レベルがある程度ないと予防のための情報が伝わりにくいとか、医療施設があっても道が悪いのでアクセスが悪いとかいった別の問題も見えてくるのですが、それぞれ別の省庁の管轄だったりして、なかなか包括的なアプローチがとりにくいのが現実だと思います。マーモット教授も言っていましたが、Health Equityを開発の成果として位置づけるということが必要なんだと思います。現実では、例えば道路を整備することについて、周辺の人々の健康の向上したといった成果はあまり測定されていないのですが(女子教育と健康の関係については何かで読んだ記憶があります、インドの事例だったかな)、開発ということは元来包括的なものだという認識の元、計画や評価の時にはセクターに偏らず議論することが重要と言うことなのでしょう。

いろいろと考えるところがありましたので、引き続き考察していきたいと思いました。という意味で、今日は行ってみてよかったと思いました。


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