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陽気なギャングの日常と襲撃 [読書(楽しみ)]

伊坂幸太郎さんの本も、これを読むとあとはハードカバーしか残ってないです。

陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)

陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2006/05
  • メディア: 新書

伊坂さんの作品は、それぞれの作品に別の作品のことがちょっとだけ登場したりして、相互に微妙に関連しあっているというのが特徴なのですが、本作は「陽気なギャングが地球を回す」の続編。多分、続編は他にはないんじゃないかと思います。(文庫になってない作品はまだ分からないのですが。)

前作でも登場した銀行強盗4人組がそれぞれ出会ったちょっと不思議な出来事が微妙に絡み合ってというのが最初の4編。最初は彼ら4人を別々に描く予定だったのが、このばらばらの4編を書いた後で、やっぱりこの4人は一緒いいなきゃ、ということから長編として組み直した、と後書きに書いてありました。

最初に別々に出会った人たちが、やがて一つのストーリーに集約していく、というのは伊坂さん作品に共通しています。

4人はそれぞれ特技をもっていて、成瀬は人の嘘が見分けられるし冷静沈着なリーダー、雪子は正確な体内時計とドライビングテクニック、久遠は動物好きでスリの名人と、それぞれの特徴を活かして活躍しているのですが、響野は成瀬の幼なじみで演説担当(成瀬と久遠が銀行強盗している間に客に向かって演説する)、減らず口でいい加減というあまり役に立ってるとは思えないところが面白いところです。実はボクシングの達人で、ということはあるのですが、いつもへりくつばかりこねては周りを煙に巻いています。

でも、この響野が伊坂作品で共通して登場するキープレイヤーな気が。普段はいい加減な感じ満載なのに、たまに格言めいたことを言ってちょっと深いようなところをみせつつ、でも意外と重要な役割を担っています。

「こういう諺を知ってるか?」響野が指を立てる。「『私の言うとおりにやれ。わたしのやる通りにではなく。』」「都合がいい諺だなあ」「まあな」と響野が胸を張る。(P56)

「こういう言葉を知ってるか。『なにはともあれ結婚しなさい。良い妻を得た者は、幸福になれるし、悪妻を得れば、哲学者に慣れる。』」「ソクラテスの有名な言葉でしょ。知ってる。」「じゃあこれは知ってるか?『わたしの夫以外はすべて良い夫に見える。』」「何それ」「この間、祥子が言ってたんだ。誰の残した言葉なんだろうな。意味が分からない。』」「それは格言とか名言とかではなく、単に、思ったことをそのまま口にしただけだよ」「意味が分からない」「意味が分からないのは、最初の話題を平気でそらしていく響野さんのほうだ」(P164)

なんか食えないところがまたいいんですね。

ストーリーは最後にはいろんなことが重なり合って大団円なのですが、他の作品よりは自然な感じが若干なくて、カタルシスが得られることは得られるのですが、若干他より薄いかな。

 

さて、次は他の作品が文庫化されるのを待つか、ハードカバーに進むか迷いますね。でも伊坂ワールドにはまりこむと次がよみたくなるという中毒性もあり、ハードカバー購入ということになりそうです。


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一瞬の光 [読書(楽しみ)]

連続で白石一文さん。3冊目です。

一瞬の光

一瞬の光

  • 作者: 白石 一文
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2000/01
  • メディア: 単行本

文庫本で読んだのですが、かなり厚くて読み応えがある長編でした。

この前に読んだ短編集の3作目に近い感じの企業ものですね。

主人公は東大卒のばりばりの橋田。社長の側近としてエリート街道まっしぐらで出世しています。

そんな彼が巡り会った香折は複雑な家族関係で心に傷をおった19歳の短大生。18歳年下の彼女と微妙な距離でつきあっていくのと、社内の派閥抗争が進行していくのが重なり、さらに社長の姪である瑠衣とのつきあいもあって、エリートの橋田の考え方や行動にも少しずつ変化が表れていきます。

最後の展開は「僕のなかの壊れていない部分」も少し彷彿とさせるのですが、あちらよりは全編にわたってサスペンスが多くて、ストーリー的にも楽しめる構成になっていました。

これまでになく主人公の橋田には感情移入できたように思います。最後の選択については考えさせられるところがありました。

ストーリーの面白さにつられて読み進めましたが、他の作品同様、読後に残るものがあったように思います。


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草にすわる [読書(楽しみ)]

先日に引き続き白石一文さんの本を読みました。

草にすわる (光文社文庫)

草にすわる (光文社文庫)

  • 作者: 白石 一文
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/06/13
  • メディア: 文庫

 

3編の短編が収録されています。

「草にすわる」は先日読んだ「僕の中のこわれていない部分」と似た感じ。生と死が描かれるところは似ていますが、読後感はこちらの方がよいように思います。

ストーリーは紹介しませんが、印象に残ったフレーズはこんなところ。

「どうしても生きないではすまないような、生きるしかないような、そういう切羽詰まった理由を見つけてから再び社会に出よう、などと甘ったるく考えていたが、今回のことで洪治が身に沁みたのは、どうしても死なないではすまないような、死ぬしかないような切羽詰まった理由でもなければ、人は生き続けるしかない、ということだった。所詮、生きるとはそんなものなのだろう。」(P80)

「 ああ、俺はなんということをしてしまったのだろう。どんなに嘘でもどんなに幻であっても、自分にはそれをこれほどの喜びとして感じ取れる力があったというのに。生まれも境遇も生活も過去も一切を捨象してなおも残りつづける、これほどに確かな力が備わっていたというのに。」(P86)

「そして俺を周囲から守るために、この人はいまのいままで懸命に嘘をつき通してきたのだ。この人は自分がいきるためにそうしたのではなく、どこまでも投げやりなこの俺を生きさせるために、俺の独りよがりで身勝手な申し出を黙って受け入れたのだ。これまでの一切を悔い改め、もう一度息みようとしっかり思い固めたのは、俺なんかではなくこの人の方だったのだ。俺はなんと傲慢な人間なのだろう。なんと浅はかな人間だったのだろう。」(P104)

こうしたメッセージが込められたフレーズが生きるためには、その状況を読者が共有する必要があり、そのためにストーリーと一緒になってこそ印象に残る文章なのだと思います。小説とはそういうものだと思えるようになったのは最近の収穫でしょうか。昔は実用書しか読んでいなかったのですが、楽しみが広がっている気がします。

他の二作品は、少し趣が違う小説でした。二編目は歳をとった小説家の大家の話。三編目は特ダネを追う新聞記者の話。

どちらもその業界の事情なども分かり面白いのですが、これまで読んだ作品よりは内省的な部分が少ないのですが、やはり人としてどのように生きるのかということを感じさせる作品、ということでは共通するものがあると思いました。


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僕の中の壊れていない部分 [読書(楽しみ)]

友達に借りて白石一文さんの本を読んでみました。

僕のなかの壊れていない部分 (光文社文庫)

僕のなかの壊れていない部分 (光文社文庫)

  • 作者: 白石 一文
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2005/03/10
  • メディア: 文庫

 

多分借りなかったらあまり読む機会のないタイプの小説だったと思います。

あらすじはこんな感じ。

内容(「BOOK」データベースより)
出版社に勤務する29歳の「僕」は3人の女性と同時に関係を持ちながら、その誰とも深い繋がりを結ぼうとしない。一方で、自宅には鍵をかけず、行き場のな い若者2人を自由に出入りさせていた。常に、生まれてこなければよかった、という絶望感を抱く「僕」は、驚異的な記憶力を持つ。その理由は、彼の特異な過 去にあった。—生と死の分かちがたい関係を突き詰める傑作。

主人公の直人の一人称で進んでいきますが、ともかく彼が思うことが深くつきつめて語られて、それは自分だけに語りかけるのではなく、時に他人にも向けられます。物事を突き放してみているということでもないのですが、言動だけ見れば「冷たい人」なのですが、それだけでないところが複雑なところ。読み進めると共感がもてるところともてないところが交互に出現する感じ。恋人や家族にはなれないけど、友達ならばあるというタイプの人のようです。

他人との距離の撮り方とか、似ている所もあるような気もするけど、他人に対してこういう話し方はできないと思ったり。

ストーリーとしてはなかなか動き出さないところはあるのですが、最後に事件が起きて、直人の人間関係や考え方が少しだけ変わっていくところがクライマックスなのでしょうか。

あまり読んだことのない種類の小説なので、途中でもどかしさもあったのですが、結局最後まで集中して読んでしまったのは、惹きつけられる何かがあったのかもしれません。

印象に残ったのはこんなフレーズでした。

「僕は心の奥底から枝里子のことを求めていたのだ。しかし、それが決して叶わぬ望みであることも同時に分かっていた。僕には、誰かとともに生きる資格がなかった。その能力も決定的に欠落していた。」(P339 )

「取るに足らない、ちっともうまれてこなくてよかったこんな僕でも、僕のためにこうして泣いてくれる人のためだけに生きていけるのならば、どんなに安らげることだろう。(中略)ただ一つ、人が幸福になる道は、自分自身よりも他の存在を愛することだ。だが、そのさらに奥深く、彼らはこうも説いているのだ。自分自身よりも他の存在を愛するときは、決して異性を愛するように愛してはならないのだと。男は女を女として愛するのではなく、女は男を男として愛するのではなく、あたかも自分自身を愛するように愛さねばならないのだ、と。」(P348)

 

もう少し白石さんの本を読んでみようと思います。


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砂漠 [読書(楽しみ)]

伊坂幸太郎さんのハードカバー以外の本で読んでない本はあと一冊かと思ってましたが、本屋にいったら新書サイズのこの本をみつけました。

砂漠 (Jノベル・コレクション)

砂漠 (Jノベル・コレクション)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2008/08/01
  • メディア: 単行本

伊坂さんらしく、いろんな伏線が最後に見事に結実するという展開は本作でも健在ですが、これまで読んだものに比べると、青春小説の色合いが強くて、趣が違うようなきもしました。

主人公が大学に入学してから知り合う友人達との出来事が綴られていきますが、友情の話でもあり、犯罪にもまきこまれたり、相変わらず現実と非現実の狭間で進展していきます。

あちこちに印象深い引用があるのは他の作品と同様。そしてそれ以上に印象深い台詞を吐く登場人物たち。読み進めるのは楽しいですが、物語が終わりに近づくのがちょっと寂しい。伊坂さんの作品に共通する読書感のように思います。

他の作品とリンクしているのも特徴ですが、多分今回リンクとして登場したのは「チルドレン」の陣内のようですね。分かる人は分かるというこの仕掛けも楽しいところですね。

 


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チルドレン [読書(楽しみ)]

またまた伊坂幸太郎さんの本です。

チルドレン (講談社文庫)

チルドレン (講談社文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/05/15
  • メディア: 文庫

伊坂さんの本は長編でありながら独立した話が最後に一緒になっていくというのが爽快なので短編は後回しと思っていました。 でも、読んでみると短編で一人称の主人公が毎回違うのですが、登場人物はすべての話を通して共通ですので、伊坂さんの長編とほぼ同じですね。

話は陣内という人物を中心に結びついている友人達、一緒に銀行強盗に巻き込まれた同級生の鴨居、同じ銀行にいた盲目の永瀬、その恋人の優子、仕事を始めた陣内の同僚武藤それぞれの目から語られます。武藤目線以外の話は陣内が大学時代の話で、武藤はその10年後の陣内との話となっています。

それぞれの話が微妙に結びついて、最後の話で不思議だったことが解消されてスッキリします。

話を面白くしているのは陣内のキャラクターが要因で、彼は話し好きで無責任、突拍子もないことを言ったりやったりするけどどこか憎めないところがあります。いいかげんなようで、何か深い意味があるような意味深な台詞を吐くのですが、これが意外と結果的に何か意味を持っていたり。

こんな感じです。

陣内さんは、「子供のことを英語でチャイルドと言うけど、複数形になるとチャイルズじゃなくて、チルドレンだろ。別物になるんだよ。」とよく言った。そういう性質なのだ、と。(P115)

「カポーティの小説にこういう一節があるんだ。」(中略)「彼の小説にさ、こんなことが書いてある。『あらゆる物事の中で一番悲しいのは、個人のことなどお構いなしに世界が動いていることだ。もし誰かが恋人と別れたら、世界は彼のために動くのを辞めるべきだ。』ってさ。」(中略)「それが現実に起きたんだよ。」「失恋した俺のために、今、この場所は止まってる。」(P166)

「少年の健全な育成とか、平和な家庭生活とか、少年法とか家事審判法の目的なんて、全部嘘でさ、どうでもいいんだ。俺たちの目的は、奇跡を起こすこと、それだ。 」(中略)「それを俺たちはやってみせるんだよ。』満足感を浮かべて、笑う。「俺たちは奇跡をやってみせるってわけだ。ところで、あんたたちの仕事では、奇跡を起こせるのか?」(P229)

伊坂さんの小説にはよく意味深な台詞を話す人物が出てきますが、この陣内が一番好きかもしれません。

 

ところで、これでほとんど文庫化された作品は読んでしまったようです。あとは「ギャング・・」の続編があるくらいでしょうか。ちょっと寂しいので、ハードカバーにもいっちゃうかもしれません。

 


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誰も寝てはならぬ11 [読書(楽しみ)]

お気楽集団、スタジオ寺の面々のお話も11巻になってました。

誰も寝てはならぬ 11 (モーニングワイドコミックス)

誰も寝てはならぬ 11 (モーニングワイドコミックス)

  • 作者: サラ イネス
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/05/22
  • メディア: コミック

著者も書いていますが、11巻になっても登場人物の生活にあまり変化はないまま、お気楽な毎日が続いています。

たまに猫(利休の介という名前)目線で、登場人物達を眺めた回があるのですが、主人公のハルキちゃんもゴロちゃんも猫と同じようにお気楽に暮らしています。デザインの仕事って、多分もっと忙しいんだと思いますが、どうなんでしょうね。彼らもそれなりに忙しそうなときはあるのですが、野球を見過ぎたつけとか、昼過ぎに帰っちゃったからとかそんな理由が多いような。

ストーリーが特にないので、雰囲気と登場人物達のお気楽な会話を楽しむというのが正しい鑑賞法なんだと思います。でも一度はまるとなかなか抜け出せません。


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陽気なギャングが地球を回す [読書(楽しみ)]

 またまた伊坂幸太郎さんの本を読みました。

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2006/02
  • メディア: 文庫

伊坂さんの作品らしく、4人の銀行強盗団のそれぞれの視点から(といっても3人称ですが)物語が展開していきます。もちろん最後に大団円が。

こうした複数の物語が一つになっていく楽しさも伊坂さんの小説の楽しさで、それは本作でも堪能できるのですが、ところどころに出てくる警句というのでしょうか、人生の心理をついたような台詞がなかなか深いのです。

「人間というのはそれぞれが主人をもっている。主人とは、つまりは人が行動するときの拠り所で、それは、実際に自分の上に立つ上司かもしれないし、自分だけの美学かもしれない。一般常識かもしれないし、損得勘定かもしれない。とにかく、人は行動するときにはその主人、ルールに従う。」(P49)

なんて感じのお言葉がいくつかでてきて、はっとします。

ストーリーは嘘を見破れる能力をもつ参謀役の成瀬、スリの達人の久遠、体内時計をもつ雪子、そしてなぜか演説の達人の響野という4人組がそれぞれの能力を使って銀行強盗をしたのに、奪った金を別の強盗に奪われ・・・という話ですが、ところどころに出てくる伏線が最後にすべて使われる感じが爽快です。

 


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わしらは怪しい雑魚釣り隊 [読書(楽しみ)]

椎名誠さんの本の中でも一番好きな〜隊シリーズ。新しいのが出ていたようです。

わしらは怪しい雑魚釣り隊 (新潮文庫)

わしらは怪しい雑魚釣り隊 (新潮文庫)

  • 作者: 椎名 誠
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/04/25
  • メディア: 文庫

あやしい探検隊からはかなりメンバーが替わっていますが、ノリはあまり変わってないようで、会話など読んでいるとつい噴き出してしまいます。

奴隷制度もまだつづいているようで、年令序列のもと、若い奴隷達がいまだに楽しげにこき使われているのも変わらないようです。

タイトル通り、堤防での雑魚をメインに活動をしているようなのですが、意外とヒラメや鰹なども狙っていました。 そして釣ったら食べるというのも徹底していて、雑魚は鍋になったり、ブイヤベースになったり。魚だけではなくて、天ぷらうどんとかジャージャー麺や味噌ラーメン、などのキャンプ料理もいつも美味しそうに食べているのがうらやましくなります。

ここのところ、キャンプにもいってないし、野外でいろいろと料理してお酒のみたい気分になってきました。

 


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空は、今日も、青いか? [読書(楽しみ)]

石田衣良さんの初のエッセイ集。

空は、今日も、青いか? (集英社文庫)

空は、今日も、青いか? (集英社文庫)

  • 作者: 石田 衣良
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2009/03/19
  • メディア: 文庫

R25に連載していたエッセイをまとめたものです。

なので読んでいる対象は、R25世代になっています。

新卒で会社に入ったり、転職しようと悩んでいたり、ニートだったり、恋愛に悩んでいたり、そんな若者を想定して、兄のように暖かく励ますようなトーンで書かれたエッセイが多くなっています。

さらに、石田衣良さんの人柄や好きなこと、どうやって小説が生まれるか、なんてことも書いてあって、小説を読むのとはまた違った楽しさがあります。

心に残ったところは、こんなところでした。 

  • 金というのは、ただ物欲や享楽のために(もちろんそれも大事だけど)つかうものではなく、自分が支持するもの、共感をもつものに使うべきなのだ。(P28)
  • インプットがなくて、アウトプットができるのは、天才だけで、ぼくやあなたのような人間は、読まなければダメなのである。(P62)
  • たべることとその準備の過程は、人間の身体を作る不可欠な行為なのだ。栄養補給という結果だけ求めて、料理というプロセスを投げてしまっていいのだろうか。そこには意外なよろこびだって、ちゃんとあるのに。(P108)
  • 今、誰もが夢について語りたがる。夢を持っていないと、どこかおかしいという風潮さえある。だが、本来夢などなくても、人間は生きていけるのだ。夢を持たなければならないと追いまくられていたり、自分がほんとうはすきでもない夢をもち続けたりする若者はいくらでもいる。そうした人たちの夢の多くは、まるで実現可能性がなく、それでいて人に言うにはすこしだけしゃれていたり、時代のセンスを感じさせたりする薄っぺらなものばかりだ。(P110)

 

ちなみにタイトルは、IWGPシリーズの登場人物、キング・タカシの台詞からとられています。

「三日目の夕方、おれはタカシにPHSを入れた。

『病の携帯番号を知りたいんだが、調べつくかな?』

 『空は今日も青いか?あたりまえのことを聞くな』」

タカシ、IWGPシリーズでも好きなキャラクターなんですが、こうした台詞もクールで格好いいですね。

 

 


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